CROSS

冬至。一年で一番日が短い日。昼過ぎからの雨で終始暗く、じめじめした一日だった。「ん」がつくものを食べると良いと聞き、夕飯はうどんにした。「にんじん」「れんこん」など、「ん」が二つつく食べ物はなおよいとのことだったが、つくる料理が頭に思い浮かばず、スーパーでも手に取らずスルーした。

 

この二日間は濃密だった。ここ数年、毎年恒例となりつつあるさいたまスーパーアリーナでのライブもあった。結成30周年を迎え、いまが一番かっこいいと本人が堂々と言い切る、そんな素敵なロックバンドがあるだろうか。まさかの1曲目の選曲に度肝を抜かれ、天井からスーッと降りてくる円盤状の照明の、その美しい光に胸を射抜かれた。息のそろった演奏と、音の美しさへのこだわりは、そのままいまの自分の仕事を進める糧になっている。丁寧に仕事をしよう。きれいに仕事をしよう。ひとりよがりじゃなくて、スタッフと息をあわせて仕事をしよう。彼らがそうであるように。

 

「LUNATIC X'MAS」ステージ正面には大きな十字架があり、それが各曲の演出になっていた。クリスマス。十字架。CROSS。

 

彼らの渾身のニューアルバム「CROSS」は、一聴したときこそその終わり方のあっけなさに、もう終わりか、と落胆したものの、何度か聴くと、その終わり方に納得もした。「so tender・・・」まるでそのさりげない終わり方を望んでいるかのよう。それよりも、その前の「静寂」がすごい。「全然静寂じゃない」なんて突っ込みはさておき。一小節何分の何拍子、という拍数がパートごとに変わるアレンジは、聴きながら平衡感覚を狂わせるに十分だ。「1,2,3,4,5,6。1,2,3,4,5。1・・・」と小声でカウントしながら聴くのが、自分にとっての新しい楽しみ方だ。サビだけとっても、1回目と2回目とで微妙に違う。その違和感の追求が面白い。「anagram」もすごい。「サビがないじゃないか」なんて突っ込みはさておき。そうじゃなくて、全部がサビなんだ。それでも単調ではなく、胸をくすぐるのは、なんでなんだろう。

 

美しいアルバムにもっと触れて、もっと自分の仕事もそうでなければ、と思う。彼らの仕事と、自分の仕事を、交差させる。