S:シェーファーのボールペン -SHEAFFER-

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前職を退職するときに、職場の仲間からプレゼントをいただいた。7年前のことだ。

 

給料ドロボーであった自分に対する後ろめたさから、受け取るのをためらうくらいの立派なボールペンだ。ちゃんとこのボールペンを持つものとして恥ずかしくないよう、次の仕事を頑張らなければ、と思った。この重たいボールペンが、自分に「決して軽々しく生きるんじゃないよ」と言っているような気がした。

 

その後、今日まで7年間。少なくとも月に1回必ず署名する場面で使い続けている。また契約書への署名や打合せでクライアントに貸すときなどにも、重宝している。このインクの生命力はいったいどこから来ているのか。

 

SHEAFFER(シェーファー)は万年筆店からスタートしたアメリカの筆記具メーカー。ペリカンやモンブラン、パーカーなど、海外ブランドがたくさんあるなかで、このふくよかで重たいボディのボールペンにこうして出会えたのが、幸運だと思っている。ギラギラしすぎた印象がなく、でもちょっと緊張した場面で使うのにちょうどよい。他と比べたことがないので偉そうなことはいえないが、滑らかな書き味は本当に気持ちよく、インクが続く限りずっと使い続けていたいと本気で思っている。

 

こんなストーリーがあったものだから、SHEAFFERを気に入り、もう一歩大人の男に近づきたいと思い、万年筆も手にした。しかしこちらはほとんど使う機会がなく、箱の中でゆっくり眠っている。うまく文字が書けないのがその理由だ。インクの強弱をつけられる分、本来きれいな文字を書くことができるはずなのに、慣れないとなかなか難しい。最初のうちこそ慣れるようにと書く練習をしたけれど、最近はなかなか手が伸びなくなってしまった。ボールペンの書き心地に慣れてしまった弊害がこんなところに現れた。