プロジェクトを成立させるということ

ずっと気になっていた新木場の複合施設「CASICA」に行ってきた。古くからある材木屋の倉庫のような建物をそのまま活用した商業施設の中には、物販やギャラリー、カフェが並んでいる。無機質な鉄骨柱がそのままむき出しになったラフな仕上げに冷たさを感じないのは、木の古家具や工芸品、セレクト雑貨がもつあたたかさのおかげだろうと思う。

 

そのプロジェクトが完成し、実際に価値を発信するに至るまでの背景に、興味がある。CASICAで言えば、新木場という場所で、どうしてこの建築が成り立つのか、というところ。少なくとも自分にとって新木場は、京葉線から東京メトロやりんかい線に乗り換えるための場所であっても、降りる場所ではなかった。名前が示す通り木材の集積場であることから「木」がテーマであることはよく分かるけれど、それでもあまり人が集まる場所とはいえないこの場所で、建物の古さを残しながら古くからある家具等を売っている。今日来ていたお客さんも、きっとほとんどが「ここに来るためにわざわざ新木場に来た」のだと思う。SNSの情報発信範囲に距離は関係ないとはいえ、こうしてたくさんの人が集まって成り立っているのだから、ほんとうにすごいと思う。そしてまた自分も、「また来たい」と思えるような素敵なモノにたくさん出会えた。雑然と掛けられた見るからに古そうなスツールの集積が、まるで宝の山のように見えた。ここに漂う空気は何十年前の空気だ?

 

人が集まるような価値を生み出し、きちんと成立させる。どこにその要因があるのか。それを感じ取って、自分の仕事にも生かしたい。

 

casica.tokyo