スマートに席を譲ること

電車内にて。やや混雑している車内、たまたま自分が立ったのが優先席の前。同じように隣に立ったのは比較的高齢女性。すると、目の前に座っている男性が「どうぞどうぞ」と女性に譲るように席を立った。いえいえ、大丈夫ですよ。上品に遠慮する女性。しかし男性は、いやいや、もうすぐ降りますから、と席を譲った。女性はそっと手のひらで男性の肩に触れ、会釈する。顔はにこやかだ。そして、席を立った男性のすぐ隣に座っていた男性がすかさず、「まだお若そうだからねぇ・・・」と、席を譲られて恐縮している女性をフォローするように言った。座った女性は、あらあなた優しい、と、今度は隣の男性の肩に手を触れ、微笑んだ。一瞬だったけれど、滑らかなやりとりだった。

 

席を譲った男性、譲られて遠慮しつつもその優しさを受け止める女性。そしてフォローする男性。みんながみんな、かっこよくて、素敵だなぁと思った。

 

今日はこのように座っている人が前に立つ人に席を譲る光景を2回見た。その都度、譲る方も、譲られる方も、スマートでかっこいいなぁと思う。

 

翻って・・・もし自分だったらどうだろう。自分が座っていて、目の前に立つ人に席を譲ろうと思い立った時。そう思うことは過去に何回もあっただろうけれど、どうぞとすっと席を立って譲った記憶が、あまりない。どうも恥ずかしさが心から抜けない。自分だったらきっと、無言で、あたかも次で降りるために席を立ったにすぎないのだという空気を出しながら、さっと立ってその場から離れるのではないか。そう思ってしまった。だとすると、分かっていても席を譲らず、目を閉じて寝たふりをするような自分とはまた別の意味で、邪だなぁと気づいた。

 

別に誰に対してかっこつけるわけじゃないんだし。誰かが見てるからやることでもないんだし。もっとスマートに、動けるようでありたい。