ナナメの夕暮れ

仕事終わり。駅前の本屋に寄り道したら、彼の本が目に留まり、そういえば、と聡明な彼のイメージとエッセイとが結びつき、手に取った。帰りの電車の中で読んで、物事を斜めに見ていたこと、それに飽きて物事を肯定するように意識し始める過程を知り、共感できることが多くて嬉しかった。そして翌日のヤフーニュースで、手に取ったのがまさにその新刊の発売日であったことを知る。過去の連載と書きおろしという構成であるも、ちょうどまさに今の彼を知ることができるエッセイだと思った。

 

ナナメの夕暮れ

ナナメの夕暮れ

 

 

「表参道や六本木を歩くと吐き気がする」自分は吐き気ほどはないけれど、言わんとすることは分かる。自分が関わるような場所じゃないと思ってしまう。

 

「スタバでグランデが注文できない」その自意識も、分からなくはない。私はそもそもショートサイズで充分だからグランデなんて頼まないけれど。

 

「ひとりでいてもあまり寂しくないのは、自分と話しているからなのだ」そうだったんだ、どおりで!と思わず膝を叩いた。そんな時間をたぶん他人より多く過ごしている自分には、当たり前のことすぎて気づかなかった。

 

仕事はもちろん一生懸命。周囲に感謝しながら。そのうえで、仕事以外で自分と会話する時間、場所をきちんと確保しながら過ごすこと。それを大切にしていれば、「自分探し」なんて言わなくてもだいたい自分のことは分かり、生きづらさに押しつぶされずにやっていけるのだと思う。