孤独の詩人

 尊敬する紙文具屋さんの作品に猫が出てくる。それはこの詩人の作品がモチーフになっているらしい。そういった経緯で名前を知り、書店でその詩集をみつけ、思わず手に取った。「生活者としては孤独な生涯を送ったが」「孤独を求めて都市の群衆の中をうろつき」そんな孤独な詩人の内面を、知りたいと思った。自分は孤独である、それを受け入れることが生きる上で必要だということを、尊敬する文筆家から教わったからだ。

 

自らをみじめな存在とし、その自らを優しく抱いてくれと女に請う。その情景が、ひたすら気分を重くさせる。と同時に、自分もみじめな存在であることに変わりないんだと気づかせ、だからこそいまの自分が置かれている環境は、貴重で、幸福で、丁寧に扱うべきなんだと気づかせてくれる。

 

萩原朔太郎詩集 (ハルキ文庫)

萩原朔太郎詩集 (ハルキ文庫)

 

 

孤独であること。そのことを受け入れるからこそ、他人との出会いを大切にすることができる。そう思った。