リアル本屋

本屋と自分との関わりについて、考える。

 

リアル本屋にどれくらいの頻度で行きますか?というアンケートをどこかで見た。その選択肢の一番が「週に複数回」というものだった。それに「週に1回くらい」「月に数回」「月に1回くらい」「3~4ヶ月に1回くらい」「1年に1回くらい」と続いて、最後が「ここ数年行ったことがない」だったと記憶している。自分の場合は・・・週に一度は必ず行くし、週末は土日とも立ち寄るというようなこともあるから、週に複数回ということになる。そうすると、世間一般で言うところの、よくリアル本屋に行く部類に入るのだろう。そういう実感はまるでないけれど。

 

ネットショップにとってかわって、リアル本屋が近い将来消えてなくなってしまうか?という議論がある。それはないんじゃないか、というのが今の自分の考えだ。確かに、例えばスマホは急に増殖して、まわりにガラケーを持つ人なんて見ないくらいだけれど、街を歩いていて「本屋がないなぁ~」と思ったことは、あまりない。事実として、街から小さな書店はどんどん少なくなっているというニュースはあっても、自分が生活する範囲において、少なくなったことを身にしみたという記憶はない。

 

ネットショップを否定はしない。私も楽天ブックスで本を買うことだってある。コンビニに送ってもらって、好きな日に取りに行けばいいんだから、楽だ。だけど、じゃぁそうやってネットショップの活用が増えることに反比例してリアル本屋に行く頻度が減るかというと、そんな感じはしない。少し前は結構楽天ブックスを使っていたけれど、いまは9割がたリアル本屋で買う。特定の欲しい本がない時でも、ふらっと立ち寄って何かおもしろいものはないかと見て回れる、その時間そのものを楽しめるのが、リアル本屋の良いところだ。

 

読書というのはひとつの文化であり、仮にその文字が書かれている媒体が紙からデータに移ったとしても、リアル本屋からネットショップに移ったとしても、本を読む行為そのものは絶対に廃れることはないんだなぁと思う。紙の本から電子書籍に変わったり、リアル本屋からネットショップに変わったりする一連の流れも、本を読むための方法やアクセスするためのプロセスがただ変化したに過ぎず、本を読む時間を楽しむ点においては何の変化もないのだという認識にようやくたどり着いた。みんながみんな、各々好きな方法で、自由に本に触れたらいい。

 

雑誌とかウェブとかいろいろ見ていると、ネットショップに負けじと生き残るための戦略をつくり、唯一無二の価値を作り出しているリアル本屋がたくさんあることに気づく。一冊しか置かない本屋。毎日トークイベントを企画して読み手と著者とをつなげる本屋。読んだ人の声を次の人に伝える本屋。展示してある古道具を一緒に買うことができる本屋など。リアル本屋が消滅する危機、という言葉を見るけれど、自分は全く心配していない。なぜなら、このように生き残るために知恵を出し、頑張っている本屋がいっぱいあることを知っているから。そういう本屋を、応援できる存在でいたい。

 

わたしの小さな古本屋 (ちくま文庫)

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CasaBRUTUS(カ-サブル-タス) 2016年 12月号 [居心地のいい本屋さん]

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