心が喜ぶ過ごし方

「休みの日、何して過ごしてますか?」「この間の休日、どこか行きました?」そういった休日の過ごし方を聞かれる質問に、長いあいだ怯えてきた。堂々と答えられるような過ごし方を、あまりしていないと思っていたからだ。だいたいがインドア。出かけたとしても、友達とワイワイガヤガヤというよりは、ひとりでふらっと。それでも、最近はそれでも良いと思うようになってきた。そういう過ごし方であっても、「こういう過ごし方をしました。そこでこういうことを考えて、こうやって過ごすことで、自分の心は喜ぶんです」と説明することさえできれば良いのだ。地味だろうがなんだろうが、関係ない。

 

行きつけのパスタ屋にいつもと少し違う時間に入り、本を読みながらパスタを食べる。空いている時間だから、静かだ。そのあとは、これまた気に入っているケーキ屋で、シュークリームとモンブランを買う。例えば友達が遊びに来たと想定して、これは近所のおいしいケーキ屋のケーキだよといって差し出すとしたらどのケーキを選ぶだろうか、なんて考えながら。シュークリームは、鉄板。これにモンブランが加わると、別にこの店ならではの特殊な味、とかそういったものはないのだけれど、シンプルな美味しさが味わえる。焼き菓子も気になっている。ひだまりマドレーヌ、いつか買って食べたい。

 

夕方、近所を歩き回る。あの店へ入ってみようか。あ、混んでるからいいや。またあとで。あの店へ行ってみようか。あ、もうすぐ閉店の時間だ。いいや。ネットで見て気になっていたあの食堂は?あ、あった。・・・「本日臨時定休日です」だって、なんだそりゃ。なんて言っているうちに、隣駅まで来てしまった。電車に乗ってひと駅戻り、結局はよく行く駅ナカのパン屋でクリームパン食べながらちょっと本を読むという、いつもとなんら変わらない過ごし方で終わる。それでも、そういう時間によって自分の心が喜ぶのは、本の言葉ひとつひとつから、仕事への活力、栄養を受け取ることができるからだ。

 

人に説明すると、たいして何もしていないように聞こえそうだ。でも、これで結構自分は喜んでいるので、いいんじゃないか。