ハイスピード

昨日、本屋で「マリアビートル」の文庫版を見つけた。そういえば、5年前に一度読んだ単行本(※)をどこかのタイミングで手放してしまい、いま手元にないなぁ、と思い、買った。

 

マリアビートル (角川文庫)

マリアビートル (角川文庫)

 

 

いつもの本屋で買って、目の前のいつものパスタ屋に、いつもよりちょっと早めの時間に入り、パスタを食べながら読み始めたら、止まらなくなって、結局店が閉まる直前まで居座った。3時間くらいはいたことになる。まったく、迷惑な客だ。

 

舞台は新幹線の中。アル中の「木村」は、息子をデパートの屋上から突き落とした中学生「王子」をやっつけようとするも逆に囚われる。果物コンビ「蜜柑」と「檸檬」は、闇社会の大物の息子を助けて帰る車内で、身代金の入ったトランクを奪われ、かつその息子を何者かに殺されてしまう。ついてない殺し屋「七尾」は、トランクを盗むという仕事をこなして降りようとするが失敗する。それぞれの登場人物の視点で物語がハイスピードで進み、交錯する。「グラスホッパー」と並ぶこの殺し屋小説は、伊坂幸太郎さんの作品の面白さをたっぷりと味わえる、大好きなストーリーだ。

 

このストーリーと同じように、読んでいたらハイスピードで休日が終わってしまった。まったくなにもしていない。ただ食べて、寝て、王子の狡猾さにイライラしていただけだ。まぁ、こんな休日も、良いか。

 

・・・と、そうやって自堕落な休日を過ごしたことを正当化してしまうのが、悪い癖。明日からの1週間、いま抱えている仕事を、全部片付けてスッキリさせたらどうだ。一度でいいから、週末に「今週一週間は頑張ったなあ」と思えるくらいやったらどうだ。そうしたら、今度は三連休が待っている。その休みを有意義に過ごしたらいいじゃないか。ハイスピードに、仕事をしてみろ。

 

疾走する密室で、あたふたしながらもギャグ感覚を忘れない檸檬のように。冷静にツッコミながらも、愛をもって相方に接する蜜柑のように。大好きな果物コンビに想いを馳せながら、また今週一週間、頑張ろう。

 

(※)

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