縁の下の苦労

事務所で過去に設計した賃貸マンションの空室を番組で紹介したい、という連絡が某テレビ番組から来た。オーナーの了解をもらって鍵を借りて、制作の方に空室を下見してもらい、若干汚れているからといって掃除をしてもらった。私の仕事の都合で鍵を開けられるのが夕方からで、18時から3時間くらいかけて、制作の方は掃除をしていた。

 

こういった制作の人の、いわゆる「縁の下の苦労」を、テレビを見ている視聴者はもちろん、そのコーナーで部屋を紹介するお笑い芸人にも、ほとんど見えていないんだろうなぁ、と思う。紹介するような空室が目の前にあって、その部屋の鍵があいていて、それなりにきれいな状態で撮影できているということを、当たり前のように思ってしまうのではないか。ましてや、その空室を管理していて、鍵を開け閉めしたりする不動産屋さんの動きなんて、全然見えないんだろうなぁ、なんて、いらぬ心配をしてしまった。

 

つい見逃してしまうようなところにも、その仕事のために動いている人がいるのだ、ということに、気づかないことが悪いと言いたいのではない。見えないところで支えている人の中には、その頑張りに気づいてもらえなくても別にかまわないと思っている人もいると思う。それでも、自分は・・・その仕事のために動いている周りの人間のことに気づき、意識できるようでありたいと思う。