less is more

「設計事務所で仕事をしている」なんて言うと、私を知る友達は、たぶん、「んなアホな」と言うと思う。大学の建築学科の友達も、「なにかの間違いでしょ」と言うと思う。なにより、誰より、過去の自分がそれを知ったら、「なんでやねん、なわけないやろ」とツッコミを入れると思う。それくらい、学生時代の自分にとって雲の上の存在であった設計事務所に、まぁ具体的に言うと建築の設計とは別の役割ではあるのだが、いられていることを、誇りに思う。と同時に、まわりの業務レベルと自分のレベルとの差に、いつもいつも、へこまされる。

 

今日は、戸建を建てたいというクライアントとの面談があった。クライアントから有名な建築家の話が出て、同席していた先輩スタッフが、その話題に乗る。そういった一連の話を横で聞きながら、うんうんとうなずくのだけれど、話に加わるほどの知識がなく、そのことが非常に辛い。「もっと大学時代に勉強していれば良かった」と、どうにもならない過去のぐうたら生活を、悔やむ。

 

家に戻り、もはや建築学科の一年生ですらフツーに知っているであろうレベルの知識を、google先生の力を借りながら詰め込んでいく。「こんなこと、建築学科で勉強していたんなら誰でも知ってるんだろうなぁ」と思うことすら知らないという劣等感が、こんな時間のウィキペディア検索へと気持ちを向かわせる。

 

「less is more」、クライアントが意識していると言っていた言葉。そんな言葉、知っていたよ(焦)。いい言葉だ。足るを知ること。増やすんじゃなくて、減らすことで、豊かになること。大事にしたい言葉だ。