物事を難しく

 

魔王 (講談社文庫)

魔王 (講談社文庫)

 

 

伊坂幸太郎さんの「魔王」を読み返している。駅の線路下の喫茶店にて。

 
主人公の安藤の周りでいろいろな出来事が、ゆっくりと、じわじわと進んでいく。集団の意見に飲み込まれて、大勢の声に同調して、本当に正しいのかどうか考えることを忘れてはいないか?そんな問題提起を投げかけられているように思う。自分以外の全員がAだと言う中で、それでも自分はBだと言えるだろうか。魔王に襲われていることに気づかずに、周りがそうだからという理由で危険な行動をとっていないか。考えるべきことは多い。
 
弟の潤也に「物事を難しく考えすぎなんだ」と言われる安藤を、自分に重ねる。難しく考えすぎるのも良くないけれど(自分自身、よく「もっとシンプルに考えろよ」と言われるし)、考えないのはもっとヤバい。
 
こういう、真面目で、誠実で、物事をきちんと考える安藤が、好きなんだよな。難しく考えたっていいじゃないか。自分もそういう安藤でありたいと思う。
 
もうこんな時間だし。飛び石休み明け、明日から仕事。「消灯ですよー」