これが接客なんだ

昨日、事務所でミニ誕生日会があり、それ用にということで、ケーキを買いに行った。事務所から歩いて5分ほど、線路沿いの細い道にあるマンションの1階。それこそ注意して見ないと気づかずに行き過ぎてしまいそうなくらい、さりげない佇まい。小さい店内には誰もおらず、ただきれいなショーウインドウがあるだけ。中のケーキがとにかく豪華で、きれいで、美味しそうで。壁にあった額もとにかく美しく、質素な店舗デザインも重なり、一瞬で、いい予感がした。

 

その予感は、出てきた店員さんを見て、確信に変わった。きれいなお姉さんは、申し訳なさそうに、でもにこやかに、一言。「この雪の中、お越しいただいてありがとうございます」この言葉にやられ、目を見て「いえいえ」と返すことができなかった。これが接客なんだ、と思った。

 

2人で入ってケーキを眺めていたら、次に来た人が店内に入るのをためらうのではないか、と思うくらい、狭い。場所も、ちと分かりにくい。果たしてもうかっているのだろうか、もしこぢんまりとやっているのであれば、自分がもう一度店に来て、常連になるチャンスかな、なんて考えながら店を去ったのだけれど、後にそれが邪推であることを知る。自由が丘のスイーツ界隈(?)では超人気店で、早く行かないとお目当てのケーキがなくなってしまうほどらしい。それを知った瞬間、私の「常連になりたい欲」は一気に冷めた。今回こそフツーに買えたけれど、自分が行かなくたって繁盛してるんだったら、行ってもすぐに買えないほど繁盛しているんだったら、別にいいや。

 

ただ、事務所で夜食べたケーキの深い味と、店員さんのすてきなお言葉、さわやかな笑顔が忘れられない。なんだかんだ言っても、また行っちゃうんだろうな。