あの日に刺さったトゲを抜かなきゃ

これを聞くと高校時代の寒稽古、校内の宿泊所で過ごした時期を思い出す。夏合宿の、底なしの暑さと格闘しながらというのとはまた違う、別の苦痛があったものだ。とにかく寒くて動かない体と言うことを聞かない精神をほぐして、ひたすら切り返しと掛かり稽古をし続けた。もう13年も前なのかい・・・パンチこそないものの、13年の時を経ていい曲だと思う、味が出るまでの潜伏期間が長~いスルメ曲。

 

下戸な自分は13年間知らずにいて、この間会社の飲み会で出てきて初めて意識した「ズブロッカ」。バイソングラスっていう植物を漬けたウォッカなんだって。「あのことで頭がいっぱいな夜は ズブロッカでは消せない♪」下戸には絶対に書けない言葉。「あのことで頭がいっぱいな夜」を消そうとしてウォッカが頭に浮かぶことはまずない。飲んだら逆に嫌な記憶がひとつ増えるだけだ。

 

「あの日に刺さったトゲを抜かなきゃ とりあえず未来はない♪」トゲが刺さったことに気づかず、いまもそのトゲが支障をきたしていることはないだろうか。フツー刺さったら痛いぞ(スニーカーの靴底を貫通して幹が刺さった小学時代の親友を見てゾッとしたくらいだ)。そうだ、高校の部活ではぜんぜんレギュラーになれず、補欠の試合でもほぼ勝った記憶がない、それこそ私にとってのトゲだ。きっと元来気弱な体質、というか性格なんだろう。当時の青春とともに、そんな若干嫌なことも思い出させる、諸刃の剣のような曲でもあるんだ。