- 作者: 伊坂幸太郎
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2012/11/22
- メディア: 文庫
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2月9日。土曜日。事務所にて。
貴重な週末初日。朝、平日並みにフツーに起きると1日が長く感じられることに驚いた。本来土曜日もこう過ごすべきだ。いまさらだが。
生来読書嫌いだった自分が、生まれて初めて「この人の小説を制覇したい」と思った。彼の小説の世界を頭に入れて、その世界を味わってみたい。「どうすればこんな創作できるんだろう」といつもは感心して終わりなんだけど、ちょっとは「そう来ると思った」と予想できるくらい、その世界に嵌まってみたい。そんな想いから、彼の小説の読破をもくろむ。
上記の理由でいまさらながら購入。読了してないのを取り上げるのも変だけど、いい方向に収束しそうな予感がするのでこのドキドキをいまのうちに字にしておく。ひきこもりの少年を悪魔祓いで救おうとする「困ってる人を見たら手を差し伸べずにはいられない」男と、株の誤発注事件の原因を探る「すべての因果関係を論理的に考える生真面目な」男。独立した二つのストーリーが交互に進む。これがどう結末に結びつくのか、いまから楽しみ。
登場人物の性格、人柄の描写が的確で、スムーズに「この人はこういう人なんだ。あぁ~この点は共感できるな」と感情移入できる。「こういう極端な人がいてもいいよね。だったら、自分がこう考えることも、別に恥ずかしいことでもないよね」となんだか安心できる。
誰もがみんな、どこかでSOSを発している。異国の地の、自分とはなんの関連もない任意の一人が、自分とはまったく違う次元のSOSを発する。一方で、自分も他人がまったく気にしないようなことで突然SOSを発するかもしれない。人それぞれの見えないSOS信号が縦横無尽に飛び交っている様子を想像してみる。いつもどおり起きただけなのに半日得した気分を味わっておなかいっぱい、な自分はSOSを発してない?晴天の空を見ると「この空の向こうでは誰かが飢えて苦しんでいるかもしれない」と誰かが言ってたことと同じことを考えてしまうので、空を眺めるのはよそう。無理にSOSを受信する必要はない。