- 作者: 伊坂幸太郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/11/26
- メディア: 文庫
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「あの頃は帰る場所があった。でももうあの頃には戻れない」そうやって楽しくて仕方なかった過去の一時期を思い出せるというのは、とても素敵なことだと思う。それこそ過去が苦痛の連続で、思い出したくもない、忘れ去ってしまいたい、ということばかりだとしたら、もしかしたら「未来頑張ろう」という気も失せてしまうのではないか。大学のサークル時代。中学高校の剣道部時代。建設会社での営業マン時代。それぞれがそれなりに「あの頃のことはもう思い出したくもない」というような過去でなかった私は、そういう意味では恵まれていると思う。実際にタイムマシンができて戻っていいよと言われても戻ろうとは思わないが。
遅ればせながら文庫本を読了した。著者らしい飽きさせないスリリングな展開は健在。首相暗殺犯の濡れ衣を着せられた青柳雅春が、見えない敵と戦いながら最終的に選んだ決断とは??
「人間最大の武器は、習慣と信頼だ」
「勢いで行動しちゃうんじゃなくて、冷静に手順を踏むのが、人間だよ」
人間がどうあるべきか。どういう人間が強いか。こういうふとしたセリフから刺激を受けて勇気をもらうえるのも、伊坂作品の醍醐味。
いろいろ時間軸の前後、視点の変更もありつつ、一気に最後まで突っ走り、このオチ。最後の1ページでホントに涙が出た。エレベーターのボタンのおし方の癖までが伏線で、最後にこう回収されるとは!!七海ちゃん、グッジョブ!!