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伊坂幸太郎 「PK」 講談社
「ほんの少しの出来事」が、未来を変える。表題作の「PK」の他、「超人」、「密使」の3部作が、複雑に絡み合っていく。ある「出来事」が少しずつ他人に影響しあい、そしてだんだん未来が変わっていく。
久しぶりの伊坂さん作品を読みました。
あいかわらずの読みやすさで、丸一日で読了。
声に出して読んでは、その言い回しの心地よさに酔いしれ、喫茶店でブツブツ独り言を言っているかのような様子は、きっと傍から見ると変質者のようだっただろう。
特に、居酒屋で大臣にからんできた若者の熱弁が魅力的。
あまりの伏線の多さに、最後に一気に回収されるのかとの不安もあったが、それでもじわじわといままでの出来事が少しずつ繋がっていく感覚があいかわらず心地いい。
「ほんの少しの変化が、次なる出来事を緩やかに動かし、それがさらに変化を及ぼし、その連鎖により、未来は変わっていく」
多くの多数を救うために、たった一人が犠牲になるか、たった一人が我を貫くことで、その他大勢に悪影響がでるか。その究極の二択問題。
「フィッシュストーリー」にも似た感覚を覚えた。あるスーパーマンの勇気が、どんどん周囲に連鎖していく。
「臆病は伝染する。そして、勇気も伝染する」
「間違いは、あなたがそれを正すのを拒むまで間違いとならない」
「大事なのは、自分がいけなかったのだ、と認めることだと。間違いを認めることは、何より難しい」
時空を超えていろんな人にいろんな影響を与えて、それが未来を最悪な状況から救う。だから自分も、もしかしたら自分すら気づかないところで、誰かに影響を与え、また誰かから影響を受けながら、未来へのドミノを倒していく。そんなメッセージを感じた。