暗渠の宿

「暗渠の宿」 西村賢太 新潮文庫



もてない「私」にやっと彼女ができて、その彼女と王子のアパートで同棲を始める。ようやく手に入れた女だったが、共同生活を送るにつれて、ささいなことに不満を持つようになる。その不満が爆発し、別れる危機も迎えるが、女は「大丈夫だよ、ずっと一緒にいるよ」と言う。そんな生活に満足しながらも、女が本当に自分を愛してくれているのか、もしかしたら本心は違うのではないか、という不安感に苛まれる。



昨年芥川賞を受賞した著者。



その説明困難なルックスや人柄に衝撃を受けて、たちまち興味を持つようになった。



テレビで風俗通いのこととかを平気で言っちゃう、よく言えば「飾らない」、というか正直すぎなところに逆に好感をもった。絶対に友達にはなれそうにないけど。



そんな著者の私小説を読みました。



「そこまで言うか?」というようなえげつない言葉あり、一文が長かったりで、読みづらい点は多々あったけれど、初めて「私小説」という分野の小説を読んで、「こういうのもアリなんだ」と不思議と納得した。



「これで終わりぃ??」というような読後爽快感のなさは過去最高レベル。



でもこの、歯の奥に骨が詰まってとれないような感じがいいのかもしれません。