フラストレーション

10月12日。土曜日。

 

事務所待機中。

 

今日はまる一日、自分ひとりだった。誰もいない事務所で本を読むも自由、仕事の続きをやるも自由、ネットサーフィンも自由。自由という気楽さからか、仕事の続きをやる気になれないのが難点だが、それにしても贅沢だ。これで電話が来なければ最高。自由が丘にいる休日くらい、自由を謳歌させてほしい。

 

いまの仕事を始めて5ヶ月。自力でのコーポラティブハウスの立ち上げにまでは至っておらず、日々悶々としている。「独立したいとかそういう気持ちより、とにかく実作をはやくつくりたかった」とか「実際に設計したいという気持ちばかりが先行していた」とか、誰か建築家が言っていたっけ。自分の作品を作りたい、という想いは人一倍あるんだけど、現実がそれに伴っていないフラストレーション。まさにそんな感じだ。どうしたら募集できる魅力的な土地に出会える?どうプレゼンしたら事務所を説得できる?そんなことばかり考えている。

 

他社のコーディネーターはどういう頭脳をもっているんだろう。どうやって事業化を考えているんだろう。どうしたらそういう人に近づけるんだろう。争いごとは嫌いだけど、ことビジネスになると、どうせなら負けたくないという気持ちははたらく。たぶん努力が足りないのだろう。何度も言うけど、ほんの一ヶ月でも一週間でも、がむしゃらにやったって人に言えるくらいやってみたらどうだよ。

 

小学生のとき「将来の夢は『発明家』になること」と言っていたことをふと思い出して、恥ずかしくなった。発明家は職業じゃないだろうに。今日、「小学校六年でエジソンか建築家になろうと思っていた」と過去を振り返る建築家を知り、「ここにもいたのか!」とすこし驚いた。少年時代に発明をしたいと思っていたことと、いま建築の仕事をしていること。ふたつとも自分と共通している。もしかして自分はこれからでも建築家になれるかもしれない?

 

建築の大学を出ていながら、建築家を遠い雲の上の存在としか考えることができない自分。設計事務所に入ってからというもの、自分の無知をスタッフに知られたらどうしようとおびえる日々。大学時代は簡単に「はい、挫折したんでぼくは建築設計はできなくていいです」なんて開き直ってたけれど、いまはそうもいくまい。解決方法はただひとつ。何度も何度も言うけど、ほんの一ヶ月でも一週間でも、がむしゃらにやったって人に言えるくらいやってみたらどうだよ。