重力ピエロ

伊坂幸太郎 「重力ピエロ」 新潮文庫



主人公の泉水と弟の春。ふたりは世間を賑わせている連続放火事件を追っていた。泉水の勤める会社を含めて複数の場所で起こったその連続放火事件の影には、放火場所を予言するかのような謎のグラフィティアートがあった。放火事件とグラフィティアートとの関連に気付く春と、その推理に付き合う泉水。そのグラフィティアートと遺伝子との奇妙なリンク。そして事件の真相が明らかになった時、兄弟の過去の秘密も明らかになる。





ストーリー展開よりもじわじわと進む会話がメインで、やや退屈感もあったため、他の伊坂作品より、やや読み終わるのに時間がかかった。


つらい過去を抱えながらも、そのことをまるで気にしていないかのようにクールにふるまう春がカッコいい。


つらい過去がきっかけで「性的なもの」に異常なまでの嫌悪感を示す春と、それを受け入れようとする泉水との絆がカッコいい。


一度はまったら、最初から最後までのめり込むタチの泉水と、誰もが羨むルックスを持ちながら美女をけむに巻くサッパリとしたイケメンの春。その兄弟の対比がカッコいい。


ストーリーはともかく、全体を通して兄弟の遺伝子レベルでつながった絆のカッコよさが伝わってくる。


ステキな兄弟だな。羨ましい。