Season7-5 顔のない女神

テレビでは、昼間シーズン7の再放送をやっているらしい。


今日もちょっと仕事があって、見ることはできませんでしたが。


シーズン7はそりゃまぁ完成度高いですよ。


薫ちゃんが旅立ってしまい、後半は相棒のいない相棒に違和感を感じますが、それでもストーリーの複雑さや上質さはさらにアップしていると思う。


そんなシーズン7の中で印象に残ってる好きな話、第5話「顔のない女神」を紹介します。


タイトルからしてけっこう衝撃度高いですが、内容も結構衝撃度高いです。





ラジオ番組に耳をすます男。番組終了後、その男が、ラジオ局から出てきた人気DJ・西田春香を刺し殺す。「これでよかったんですよね」男はそう言い残し、逃げ去る。(後に男は自殺する)


西田はその日は休みで、局に来ていることはほとんどの局員すら知らなかった。当初はストーカーによる殺人だと予想されたが、ストーカーにしては内部事情を知りすぎていて不審だ。


ラジオ番組の出演を控えていてラジオ局に居合わせていた右京と薫と暇課長・角田が捜査に乗り出す。そこで、人気DJ・伊沢ローラに会う。事件が起きたのは、伊沢ローラの番組が終わって反省会に向かうちょうどそのときだった。


伊沢ローラがDJをつとめる長寿番組が打ち切られることが決まり、その後任として西田が抜擢されていた事が分かる。そのことに恨みをもった人間による犯行か?


しかし、右京はローラの番組を聴きなおしている最中、彼女のふとした言葉に疑問を抱く。また、ローラの服装のちょっとした変化も見逃さなかった。そこからあぶりだされる真実とは・・・・・







真相はこう。

ローラの番組終了および西田の後任起用は、番組プロデューサーの女が仕組んだものだった。女は不倫相手を西田にとられ、「ローラの番組の後任にするから別れてくれ」と脅す。そんななか、電話をかけてきたローラを西田と勘違いして話し始め、ローラはことの真相を知る。ローラはプロデューサーに殺意を抱く。番組を打ち切られたことに対してでなく、今まで長い間自分を育ててくれたプロデューサーが自分の自慢の声を他人と勘違いした、その事に対して。そしてローラは、いつも番組に投稿してくれるリスナー(後に西田を刺し殺した男)に、番組の合間に抜け出して電話をし、驚く男に向かって「もう疲れた。私を殺して欲しい。あなたにしか頼めなくて」と打ち明ける。すべては、ローラの顔を知らない男を使って、服装を指示してプロデューサーを殺させるために。しかし、偶然休日に局に来ていて、偶然プロデューサーとよく似た服装をしていた西田が、男に刺されてしまう。








なかなかスリリングではあるが、殺されたほうは何の罪もない、という勘違い殺人です。

番組をこよなく愛するリスナーを使って人を殺させようとすることに対しては憤りを感じますが、それよりも、最終的に殺意を抱くその動機(自分の自慢の声を聞いて自分だと気づかれなかったこと)を知って、かつて名前を覚えてもらえていなかった事に腹を立てて監督を殺した電飾係の話(シーズン1第10話「最後の灯り」)を思い出し、切ない気持ちになりました。


プロとしてのプライドを傷つけられたことに対しての殺意。


人間の殺意の動機は、ほんのささいなところに潜んでいるものなのだということを感じました。