Season5-9 殺人ワインセラー

相棒シーズン8決定!!
新相棒・及川ミッチーはどんな働きをしてくれるのか?
今から楽しみです。


そんな新境地に向かう「相棒」
そのべらぼうにステキさを紹介する当カテゴリ。
今回はシーズン5の第9話
「殺人ワインセラー」です。




ヤミ金業者の社長・石場が殺害される。石場にはレンガのようなもので殴られた痕跡があり、殺害現場にはレンガがあると推理する。

石場のスケジュール帳に月一のペースで予定されている「ランゲ」の文字。その「ランゲ」という名前のレンガ造りのレストランのオーナーで、ワイン評論家の藤巻(役:佐野史郎)と交友があった事が分かる。

藤巻は以前ソムリエをしていたが、そのときに有名なワイン評論家の安藤に、高級ワインと偽られて安いワインを飲まされ、気づかずにワインを褒めて大恥をかかされていた。いつか安藤に匹敵する評論家になろうと、その日以来ワインの勉強を続けてきたのだ。


そんな藤巻が、レストランが大赤字であるにもかかわらず、趣味で多くのワインを保有していたことを不審に思った右京が問いただすと、藤巻は石場から個人的に融資を受けていた事を白状する。


しかし藤巻には石場を殺害する動機がない。いったいなぜ?

そんな中、右京と薫は藤巻から試飲会に招待される。右京はそこに、かつて藤巻をバカにした評論家・安藤を連れてくる。そしてその試飲会で、右京は藤巻に内緒で、はずれ年の1987年のパルトネールを出す。しかし実はそれは大当たり年の1986年のパルトネールだった。


つまり、藤巻がワインセラーで石場を殴り殺した際、飛び散った血痕が86年のパルトネールのラベルに付着してしまったため、それを取って87年のパルトネールのラベルにつけかえたのだった。そうとも知らずに、87年のパルトネールを飲んだ安藤は、まだまだだとそのワインを侮辱する。
そう、かつて藤巻をバカにし、藤巻にとって目標となっていた人が、86年と87年の区別もつかなかったのだ。

「こんな人たちのために私は今まで何をやってきたんだ・・・・」
「このワインを侮辱するなんて、絶対に許さない!!」
藤巻はかつて侮辱されたように、安藤らを侮辱したのだった。



不本意とはいえ、86年のパルトネールを飲む藤巻。右京に感想を尋ねられ、
「おいしい・・・本当においしい。・・・本当は、それだけでよかったんだ・・・」



駆け出しのソムリエの頃、自分の知りうる精一杯の言葉でワインを褒めた藤巻。「さすが稀代の名酒、ロマネコンティ」そう言ったが為にソムリエ界を追放された藤巻。ただ「おいしい」とだけ言っていればよかったのに。
人が何かに向かってがむしゃらに勉強するエネルギーのすごさと、その何かに裏切られたときの失望感。それがこのストーリーには描かれています。

藤巻が安藤にバカにされていたのと同様、実は藤巻もかつてワインの知識のない石場を侮辱していたことがわかる。
石場を侮辱したことを覚えていなかった藤巻。
その藤巻を侮辱したことを覚えていなかった安藤。
「けなした方は覚えていなくても、けなされた方は覚えているものですねぇ・・・」
そんな言葉がズッシリきました。


佐野史郎さんの演技がめっちゃめちゃ迫力ある!!ぜひ観てください、面白いです。