言葉の羅針盤

千駄木の養源寺で一年に一度開かれるイベント「しのばずくんの本の縁日」を知り、行ってきた。千駄木界隈の古本屋さんが本を並べるのに加え、出版社が直接新刊本を手売りする。その売り手と対面して本を手に取るというのが、こういうイベントの良いところだ。最新の新刊本からマニアックな古本まで、さまざまな本がずらりと並び、さてどれにしよう、と悩む。結局3周くらいぐるぐるまわってやっとこれだという本を決めて、手に取った。

 

若松英輔「言葉の贈り物」は自分が言葉を紡ぐときの糧としている本であり、しんどくなったときの心の拠り所である。数年前、その本に出会ったのが千駄木のひるねこBOOKSであり、その本の出版社が亜紀書房だ。その亜紀書房も本を並べていた。その中に若松英輔さんのサイン本「言葉の羅針盤」があった。サイン本であったことに惹かれたのか、と言われると嫌なのだけれど、でもサインに心動かされたのは事実だ。大好きな作家さんの直筆の文字を見て、その字が刻まれた本を、それをつくった出版社さんから直接買い、読む。こんな贅沢はないと、帰ってきて冷静に考えて、思った。もっと出版社さんと話をすればよかった。

 

言葉を絞り出しそれを記す営みが、自分だけでなく他者にも大きな影響を与え得るのだということを、彼の本、というより彼の言葉から、学んだ。「言葉の羅針盤」はこれから読むけれど、きっとこの本がこれからを強く正しく生きるための羅針盤になるということを、読む前から予感している。

 

ひるねこBOOKSのコーナーで古本も買ったし(安すぎ!)。しばらくは本の衝動買いはやめようと思う。

  

言葉の羅針盤

言葉の羅針盤

 

  

小さな巣をつくるように暮らすこと

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