リネンシャツ

マーガレットハウエルのリネンシャツを好んで一年中着ている、と尊敬する松浦弥太郎さんが言っていて、すぐに真似をしたくなった。もともとリネンの素材感を好きになったきっかけは忘れてしまったけれど、もしかしたら彼の言葉だったのかもしれない。それくらい、シャツに限らず、リネンのもつ肌触り、清潔感に、ひかれる。

 

確かあったはずだと思って足を運んだ銀座の松屋でマーガレットハウエルを見つけ、ちょっと背筋を伸ばして、覚悟を決めて、入った。そしてすぐ、そういえばしばらく前、リネンシャツを見にここに来て、店員さんに「いまは扱っていないんです」と言われてしょぼんとしたことを思い出した。そうだった、ないんだった。

 

一応店内を見て回って、店員さんに「リネンシャツを探してるんですが」と尋ねたら、「ありますよ。セール対象外ですが」とあっさり言われ、拍子抜けした。手に取って、その素材感に触れて、これだ、と思った。サイズだけが心配だったので一応試着して、問題ないことだけ確かめたら迷わず、これください、と口にしていた。値札を見ていなかったことに気づいたのは、レジでカードを出して、店員さんに電卓の数字を見せてもらった時だった。一瞬ビックリしたけれど、もちろん後戻りはできないし、その分着つくしてやろう、という覚悟ができた。

 

マーガレットハウエルのリネンシャツは、襟のデザインが良い。だから、一番上のボタンまで閉めるのがポイントだ。松浦弥太郎さんがそう言っていて、最初はそんなばかなと思っていたけれど、なるほどと納得。シャープな襟のカーブが、第一ボタンをはずした状態だと見えない。よくできてると思った。

 

 

昼間、ちょっと仕事。クライアントとプロジェクトの打合せ。仕事が遅く、スタッフの手を煩わせてしまってばかりな自分だけれど、打合せは気を引き締めて、クライアントの利益を最大限考えたい。第一ボタンまで閉めたリネンシャツで自分に渇を入れる。シャープな襟のラインのように、仕事の思考も、シャープに。そしてゆるぎなく。

 

白のシンプルなリネンシャツを、違和感なく着ることができるオトナになりたい。

 

続・日々の100 (集英社文庫)

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