酒とコミュニケーション

プロジェクトが一段落したので、事務所の仲間全員で打ち上げに行った。場所は人気のお好み焼き屋さん。テーブルを皆でつめながら囲み、鉄板をつつく。自分で言うのも変だけれど、いい光景だった。

 

そのプロジェクトを担当したスタッフは、年こそ自分とあまり変わらないのに、飄々と、かつ正確に仕事を進めるスーパーマン。そのエネルギーがどこから湧いてくるのか、まるで分からない。その知識、知恵をどうやって仕入れて、どうやってアウトプットしているのか、まるで見当がつかない。自分が不勉強すぎるだけなのかもしれないけれど。

 

仕事仲間とお酒の席でコミュニケーションをとることの大事さは言葉ではよく耳にしながらも、「はいはい、それは分かるけれど、自分はそんなに飲めないし、そういう場を設けなくたって仕事を円滑に進めるためのコミュニケーションはとれるでしょうに」なんて言いながら、どちらかというと否定的に考えていた。でもやっぱり大事なんだなぁということを、実感できた気がした。なんだかんだ言って仕事の話になり、いま進めている、新しい取り組みを交えたプロジェクトのアイデア出しが始まる。「なにそれ?」というのも含め、様々な角度からのアイデアが出る。まさにブレインストーミング。アルコールが脳に染み込んでいるからこそ出る言葉って、本当にあるんじゃないかと思った。焦って、スマホのメモ画面を起動する。こんなの、メモしておかないと絶対覚えていられない。

 

仕事を進めていくなかで、自分が心の中でふと感じたこと、良かれと思って行動したこと、行動に移さなかったこと、それらが仲間からどう見られているのか、そしてどう思われているのか。指摘されたことで、そのことに気づけた。これから直すべきところは直し、不機嫌は上機嫌に改めて、より円滑に、楽しく仕事をしていこう。

 

「カタいんだよ」それにしても、まさか社会人になりたての頃に直属の先輩に笑って言われた自分の短所を、社会人になって12年を過ぎたいま、同じように言われるなんて思ってもいなかった。自分が実は全然成長していないんじゃないかと思えて、泣けてくる。「飲みが足りないんじゃないか?」と言われたけれど、たぶんそうじゃない。飲みすぎたんだと思う。生中2杯だけど。たぶんアルコールには、胃に入らず、重力に抗って口から目に向かい、涙となって感情を放出させる性質があるんじゃないかと思う。