ドライフラワーのリース

自宅近くの手作り市で、ドライフラワーのリースに出会った。ヤマブキの花の鮮やかな色がまぶしい。生花と違ってずっと飾っておくことができ、しかも、ゆっくりだけれど退色していく、その変化をも楽しむことができる。ちょっとした興味はあってもいままでは手に取るまでには至らなかったけれど、今日、勇気を出して手を出すことができた。

 

「男の人で興味を持ってもらえるなんて、珍しいことです」作家さんにそう言われ、恥ずかしさが半分。そうですよね、この風体で花だなんて。「女子か」て自分で自分にツッコミをいれたくなるほどだ。しかしもう半分は、なぜだかうまく説明できないのだけれど、嬉しい気持ちにもなった。他人と違うんだ、と思ったからだろうか。「いやいや、素敵です」そう作家さんにおだてられたからか。

 

花が好きだという男性を、それでも自分は何人か知っている。松浦弥太郎さんは「週に一回、花を買う」「雨の日こそ、花を買う」という。自分が花に関心を持つきっかけは彼のエッセイだといって間違いない。ストレイテナーのホリエアツシさんは、「オトナとは?」と聞かれ、「花を愛でる」とこたえた。近年、ノウゼンカズラの魅力に取りつかれたのだという彼は、ツル植物の生命力やその花のもつ美しさに気づくことが、オトナになったということなのではないかと言う。そして、自分が堂々と、いや、ちょっと恥ずかしがりながらだけれど、花が好きですよと言えるまでになったのに多大な影響をもたらしたのが、映画「ポリスアカデミー」に登場する心優しき怪力大男、ブバ・スミス演じるモーゼス・ハイタワーだ。実家である花屋の店先で、静かに茎を切る姿に、失礼だけれど見かけによらない心のありようを見ることができたと思った。こういう大人に自分もなりたいんだ、と、ストーリーの本筋以外のところで感動したのも、良い思い出だ。

 

こうして文章を書いている、机の脇にはヤマブキのリースが。この花がゆっくり時間をかけて退色していく、その様子に季節や時間の流れを感じるようになれたら、素敵だなぁと思う。