ハイペースがマイペース

「自分が客の立場で席について、コーヒーを淹れてもらうのが夢なんです」生き生きと、屈託のない笑顔で言ういつものカフェの店主が印象的だった。「そんなの、すぐ叶うでしょうに」なんて思って口にしたら、そうじゃないんです、と彼女は笑みを絶やさない。スタッフがみんな技を覚えてくれたら。そう話す彼女の目は、輝いていた。

 

そうか。他人から見たら、そんなのすぐに叶うんじゃないの?と思うようなささいなことでも、本人にとっては何事にも替えられない立派な夢なんだ。自分の視野の狭さを思い知った。

 

明日、オープン1周年のイベントを行うとのこと。この1年を駆け抜けたスピードは、客観的に見てもものすごく速かった。もうちょっとゆっくりと、マイペースにやったらどう?と言いたくなる。でも彼女にとっては、このハイペースがマイペースなのだろう。とすると、自分の助言はまるで彼女らの役には立たない。

 

1周年、おめでとう。あなたのお店をオープン当初から知れて、自分の居場所とすることができていることが、自分の誇りです。これからも、よろしくお願いいたします。