ロードバイク

マイ自転車をつくること。これが今年の自分の夢になった。

 

きっかけは、事務所の仲間にロードバイクを勧められたことだ。通勤で毎日ロードバイクに乗っている仲間がいて、どうだと誘われた。自分は中学高校と自転車通学で、それこそ飽きるくらい自転車に乗っていたから、といって最初は乗り気ではなかった。しかし、他の仲間もロードバイクを始めたり、事務所の新年会で「みんなでしまなみ海道を走るなんてどうだろう」なんて話が出たりして、徐々にそのムードが広がっていった。いやいや、と最初こそ断っていたものの、だんだん断りづらくなり、そのうちに、実は自分も颯爽と風を切りながら走りたいんだという想いがあることに気づいた。かたくなに「俺はのめりこまない。深追いしたら抜け出せなくなるし、すぐ飽きるんだったらやる意味がない」と思っている限り、新しい趣味には出会えない。何より心に響いたのは、飽きずに続けられるかどうかではなくて、その時の気持ちに従えばよい、後に気持ちが変わったら、変わった気持ちに従えばよい、というアドアイスだった。飽きたらもったいないじゃなくて、もっと柔軟に考えるべきということだ。

 

こうして自転車選びが始まるのだけれど、そもそも自分はどのようなサイクルライフを送りたいのか、付き合い方が定まっていない。通勤で使うことはないから、平日はほぼ乗らないだろう。とすると、休日、いままでより少し行動範囲が広がって、ちょっと遠くまで旅に出たい、ということだろう。江戸川の河川敷を、水を見ながら走るなんていいじゃないか。頑張って房総の方へ行って見るのも楽しそう。そうしたら行きたい美術館もある。というように目的が徐々に見えてきたところで、お店に行って見ることにした。行きつけのカフェ経由で知った自転車屋さんが隣町にあって気になっていたから、そこに相談してみよう。ということで今日、その自転車屋さんに行った。こうやって数珠繋ぎで出会いがつながるというのは本当に嬉しい。

 

メーカーの新車を買う場合。カスタムする場合。完全フルオーダーでつくる場合。それぞれのことについて教えてもらう。乗り方は?頻度は?予算は?答えながら、自分の新しい趣味と向き合う。特に予算は、もともと10万円くらいかなぁなんて思っていたのだけれど、話をするうちにどんどんと夢はふくらみ、あってないようなものになってしまった。10万円を予算にするということは、言い換えれば自分で「この新しい趣味によって得られる幸福度は対価10万円相当だ」と決めてしまうようなものだ。もちろん無尽蔵に上限を高くできるわけではないけれど、週末のサイクリングを心から楽しむことに20万円の価値があるのだとしたら、自分は喜んで20万円をかけられるようでありたい。何年も楽しめる相棒の対価が、毎月支払っている家賃とあまり変わらないのだとしたら(自転車と居住費は単純に比較するものではないだろうけれど)、バランスを欠いているとも思う。

 

最初はスタンダードな状態で、徐々に自分の好みに合わせてカスタマイズできる、要は足し算のバイクを、教えてもらった。完成品を買ってそれでおしまい、ではなくて、自分に合わせてどんどん成長させていく。その考え方に共感した。本当はフルオーダーできれば理想なのだろうけれど、まだ自分は、オーダーするほどの、自分なりの乗り方というものがない。

 

こうして、優柔不断のモノ探しが始まった。あっちもいいこっちもいい、どうしよう、と考える時間はあまり好きではなく、パッと決めて楽になりたいというのが本音なのだけれど、なかなかそうはいかない。まずは、相棒と一緒に自分はどうやって楽しみたいのか、そのイメージをもっと固めよう。