お風呂に本を

風呂で本を読みます。湿気の多いところに紙を持っていくなんて、火を通した油に水をかけるのと同じくらいやっちゃいけないことだと思うのだけれど、その危機感すらなくなりました。一度、完全に文庫本を浴槽に落とした経験が、感覚をマヒさせたのかもしれません。危ないというよりも、湯船につかりながらぼーっと本を読む時間が有意義で、その日にあった嫌なことだとかいろんなことを忘れさせてくれる、至福な時間であるという気持ちの方が大きい。

 

とはいえ、風呂場に本を常に置いておく、ということはしていません。風呂に入るときに、部屋の本棚から読む本を1冊選び、持っていく。そして風呂から出るときに、その本も持って出る。たまに浴室に置いたままの時もあるけれど、それは湿気で表紙の紙がしなっても別になんとも思わない文庫や新書だったりと、決して多くはありません(私には、紙が汚れようが濡れようが何とも思わない本と、汚したり濡らしたりしたくない本があります)。こうして、基本的には「本と湯気が共存していない」状態を保っています。

 

このことを、つまりは、風呂に入るたびに部屋から本を持っていって、風呂から出るときに本を持って出る、という手順を、面倒だと思ったことはなかったか。これを当たり前だと思っていて、その手順を省いた、より快適な読書ライフはできないものか、というように考えたことはなかったか。それがなかったことに、この本を読んで気づきました。

 

夢の本棚のあるインテリア (エクスナレッジムック)

夢の本棚のあるインテリア (エクスナレッジムック)

 

 

本棚に囲まれたいろいろな住まい写真が載っていて、刺激を受けるものばかり。こういう読書ライフ、いいなぁ、と思わせるインテリアがたっぷり入っています。そんななかで特に目をひいたのが、バスルームに本棚、というものです。なんだ、「住まいづくりは、もっと自由でいい」なんて自分は仕事でクライアントに言っていながら、自分自身住まいづくりの自由度を認識していないじゃないか、と思いました。住まいはもっと、自由でいい。浴室に本棚があったって、いいじゃないか。浴室で本を読む、という自分にとっての需要が現にあるのに、どうしてそのことに気づかなかったのでしょうか。

 

浴室に本棚を。きっと、いままで以上に快適な時間を過ごせると思います。