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初めてCDを買った1998年

自分が初めて自分の小遣いで、自分のためにCDを買ったのがいつだったか、と昔を振り返った。そしてそれが1998年であることに気づき、日本で史上もっともCDが売れた年と重なり、なにか不思議な感覚に陥った。

 

宇多田ヒカル椎名林檎浜崎あゆみaiko。彼女らがデビューし、はなばなしく活躍した年が1998年だったのか。あのころ自分は中学3年生。GLAYが「誘惑」と「SOUL LOVE」を2曲同時発売するという、当時画期的な発売形態を見てびっくりしたのを思い出す。雰囲気の全く異なる2曲を、両方同時に買う。それが、彼らが好きであることを友達にアピールする術であった。まぁ、両A面の1枚のCDで売ったっていいものをわざわざ2枚にして発売し、それでも大ファンは何も言わずに両方買っていたのだから、CDが一番売れた時代だと言われてもなんとなく納得はいく。当時日本でCDを購入していた人口2000万人の1人あたり月に2枚のCDを買って、年間3万円近くお金を遣っていた計算になる、といわれても、「うそだー」というより、「そんな感じだったか~、確かになぁ」となんとなく納得はいく。

 

そして、LUNA SEAが1年間の活動休止から復活して「STORM」をリリースしたのが1998年だ。あのとき、世間は誰もがたくさんCDを買って音楽を消費する時代、私はCDを買って好きな音楽を聴くことの快感に目覚めた時代だったのだ。「そんな時代、知りませーん」じゃなくて、音楽がたくさんの人に聴かれていたその年に、自分も音楽を楽しむ状態にいられたことが、なんとなく嬉しい。

 

月日がたって、いま。媒体がCDからダウンロードに変わったとか、そういう話は置いておく。別に音楽を供給する側がつまらなくなったとか、よい音楽が少なくなったとか、そのように言うつもりもない。そう思うのだとしたら、それは社会がそうなったのではなく、単に自分の音楽を感知するアンテナの感度が鈍くなったか、世間の音楽のセンスと自分の好きな音楽が合致しなくなっただけだ。いまの時代にはいまの時代の音楽の消費のしかたがある。要は自分のアンテナの感度を良好に保っておいて、自分の好きなポイントを押さえた音楽を探し当てる探索能力をそなえていれば、自分なりの楽しいミュージックライフを楽しめるはずだ。

 

1998年の宇多田ヒカル (新潮新書)

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