時代小説を読む

先週、振替休日を一日もらい、平日の昼間から自宅でのんびりとしていた。世間が動いている平日に動かないというのも、どうも罪悪感をぬぐいきれない。別に悪いことをしているわけではないのに。

 

駅前のいつもの本屋で。少し前から気になっていたものの、なかなか手に取る勇気がなく、目をそらしていた本があった。正確には、本の「集まり」があった。店の本棚3列ぐらいを占拠するたくさんの文庫。そのすべてが、同じ作者の小説だった。NHKで多作の作家さんだと紹介されていたのをわずかに覚えていたけれど、その程度。時代小説なんて、一生かかっても読まない分野なんだろうな、と敬遠していたのに、徐々に、読んでみたいと思うようになった。

 

平日の昼間に仕事をせず自宅近くにいるという、いつもとちょっと違う気分に真新しさを感じ、その気分に乗って、今日から何かを始めるのも良いなぁと思った。何かのきっかけがなかったら、どうせ最初の一歩を踏み出すことすらできないんだ。今日がその一歩を踏み出す日なんだ、と勝手に解釈し、いままで背表紙しか見ていなかった本の集まりから、一冊を丁寧に選び、買った。時代小説を読み始めるとは、おれもオトナになったなぁ、なんて思いながら。

 

佐伯泰英さん。1999年に時代小説に転向し、たくさんの本を出している。ホームページを見て、その生み出すペースのはやさに、びっくりした。1か月に1冊のペースで毎月書いたって1年で12冊なのに、16冊とか出している年もある。これじゃぁ、読み終わるまでに何年、何十年かかるというのだ。でも、その先の見えない果てしない感じが、なんだかワクワクする源なのだとも思う。

 

ただでさえ人一倍読むのが遅い自分。先は長い。買ってから1週間たつ今日までで、まだ序章しか読んでない。でも、目標ができた。佐伯さんの時代小説で本棚を埋めるとともに、昔の、スケールの大きい考え方や思想のようなものを、少しでも自分のものにできたら、良い。

 

光圀: 古着屋総兵衛 初傳 (新潮文庫)

光圀: 古着屋総兵衛 初傳 (新潮文庫)