心をつかうということ


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仕事終わりに立ち寄ったいつもの本屋で松浦弥太郎さんの新刊を見つけて、迷わず手に取った。コミカルな絵が表紙を飾る、ちょっといままでの印象とは異なることに気をひかれたけれど、それ以上に、著者紹介欄に「クックパッド㈱を経て、2017年より新たな挑戦を始める」とあって、どひゃぁ、となった。

 

本を売る仕事を個人でずっとされていた方が、老舗雑誌「暮しの手帖」の編集長として働くというだけでも新天地だろうし、その方が新たな挑戦としてクックパッドの一社員となったと知ったときは、環境の変化を恐れない、強い方だなぁと思った。「くらしのきほん」は、やさしい言葉でおおわれた文章を毎日更新するというもので、その地道な作業の中に、くらしをちょっと豊かにする工夫をみんなと共有したい、という強い意思を感じていた。そんな彼が、また新たな環境に身をおいて、新しい挑戦をするのだという。楽しみで仕方ない。

 

頭をつかって導く答えには、その可動域に制限がある。だけど、心をつかってたどり着く答えには、限界がない。頭で考えたら無理だとわかることでも、可能にしてしまうことだってできる。頭すら使わない(いまの自分がそう・・・)のは論外だけれど、頭を使って得た答えに頼るんじゃなくて、心をつかって、じっくり考えようと思う。

 

「いままでと同じプロセスで考えていたら、新しい価値はつくれない。いままでと同じ事業手法では、これからは成り立たない。なにかいままでやったことのない、新しいことをやらなければ意味がない」自分はこの考えに、がんじがらめになりすぎていたのかもしれない。いままでと同じことをやったのではダメ、という考えは、ハズレではないと思う。だけど、いままでにないということだけに気を取られていないか。ようやく見つけた新しいことが、ユーザーが求めていることと本当に一致するだろうか。「新しい事業手法を見つけた!これは面白い!」と自分が面白がっているだけで、ユーザーが本当に必要としていることを無視してはいないか?そこまで考えたとき、ただやみくもに新しいことを追求するのは自己満足にすぎない、と思った。

 

人がよく知っていることのなかに、新しいものを見つける。このときに心をつかって、一歩踏み込んで考える。相手は何を欲しがっているだろうか。どういうサービスがあったら、時間やお金を費やそうと思うだろうか。この、心をつかって考えるということを、習慣にしたい。

 

いままで自分が心をつかっていなかったという恐ろしい事実に気づけた一冊です。

 

「自分らしさ」はいらない くらしと仕事、成功のレッスン

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