これからの建築

昼間、仕事。竣工済みコーポラの管理組合総会に出席。議案は滞りなく、どんどんと可決されて進むなか、最後に自分から説明することとなっていた案件については、滞りなくとはいかず、課題を残すこととなった。どうしたらいまある問題を解決できるか。話はとてもシンプルで分かりやすいはずなのだけれど、そこには現実問題として、コストであったり、見栄えであったり、メンテナンスの可否であったりと、いろいろな制約がある。そうした制約を踏まえつつ、最適な解決案をきちんと提示できるか。そこに自分の存在意義がある。いつも思う、いつだって責任重大だ。

 

 

その後、建築家の光嶋裕介さんの著書出版記念イベントに行ってきた。こういうイベントにはほとんど行ったことがなかったのだけれど、ミシマ社のメルマガで知り、尊敬する建築家でもあり、関心があった。自分とそれほど年齢も変わらないのに、信念をもって丁寧に仕事をしている方だという印象があって、話を聞きたいと思った。

 

思想家の若松英輔さんとの対談という形で始まったイベント。その話のすべてが刺激的で、自分の仕事にも変換可能で、勉強になった。

 

「文章を書くことは、特定の相手に手紙を書くことと一緒。宛先を意識することが大事」自分が書いているこのブログでは、誰に向けて書いているかをほとんど意識していなかった。それって読みづらいことなんだな、と痛感した。

 

「設計をすること=『作品をつくる』という感覚が徐々に少なくなっていった。クライアントにどれだけ寄り添って考えるかが大切である」「仕事とは、自分のもつ限界を超えていくこと。そうやって頑張って作ったものに対して『自分の作品だ』といっていいのか、という違和感がある」自分が良いと思うものを作れば良いだろう、という自分目線で考えるのではなく、クライアントの目線にどれだけ近づけるかを意識したい。

 

「自分の名前はどうだっていい。自分が発した言葉だけが残ったら最高」本来、本という媒体を通して伝えたいことがあるというのは、そういうことなのだと思う。本を出すこと自体が目的化するのではなくて、伝えたい言葉があるからそれを伝えるために本を書く、という順番。自分も、ただ漫然と続けていればいいや、と思いながらブログを書くのではなく、特定の誰か(それは別に他者でなくても、自分でもいいと思う)に伝えたい言葉はなんだろう、と考えて、それをストレートに伝えることに徹したい。要はラブレターと一緒なんだ。

 

背伸びして大きな問題について考えるのではなく、大きなプロジェクトの実現ばかり夢見るのでもなく、目の前のクライアントの幸福の最大化のために自分がなにをすべきかを考える。顔の見えるクライアントのために自分のできることで最善を尽くす。それが仕事なのだと改めて思った。

 

光嶋さんにとってのドローイング。自分には果たしてあるだろうか・・・

 

これからの建築 スケッチしながら考えた

これからの建築 スケッチしながら考えた