グッドデザイン

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グッドデザイン賞を受賞した作品が展示されている「GOOD DESIGN EXHIBITION 2016」に行ってきた。

 

www.g-mark.org

 

大きなフロアーに並んだ作品、ひとつひとつすべてを見るとあまりにも情報量が多すぎるので、意識してピンときたものだけに絞って見た。それでもたくさんのアイデアがあって、楽しかった。

 

見てまわって、パンフレットを読んで、大切だと思ったテーマは大きく二つ。

 

①人と人とをつなぐ仕組みづくり

②技術の進歩によってなくなった体験を取り戻す

 

①は特に建築で。もともと電鉄会社の社宅であった建物をリニューアルして一般賃貸住宅と公営住宅とし、まちに対して開放するというものがあった(ホシノタニ団地)。建物のデザインももちろん良いのだけれど、そうやって人を集めるしくみをつくっているのがすごいと思う。社宅という閉じた建物群をリニューアルして、外に開いて街づくりに寄与する。なにより、それが新しい建物を一からつくる新築ではなく、老朽化したマンションでやることに、既存ストックの活用という点で意味があるのだと思う。

 

www.odakyu-fudosan.co.jp

 

本を一冊しか置かないという「森岡書店」もそうだ。従来の本屋は、当たり前だけれどたくさん本があるから、そこに来る人の目的は多様。だけど本が一冊しかなかったら、そこに来る人の目的はその本しかない。すると、来た人同士のつながり、店と客とのつながり、作家と読み手とのつながりが生まれる。情報量が多い現在において、対象を絞るという逆の発想が面白い。

 

openers.jp

 

②は冒頭の写真にもあるスピーカーを見て。再生した曲の歌詞がモニターに映るだけでも衝撃的なのに、曲調を分析してフォントや文字の出方が変わるというのが、とことん音楽の聴き手目線に立っていてすごい。CDを買ってプレイヤーで聴く時代から、スマホでダウンロードして聴く時代になった。それ自体は否定するものでもなんでもなく、便利だし、良いことだと思う。だけど一方で、歌詞カードを手に持って音楽を聴きながら歌詞を読むという行為が、少なくなっているのも事実だろう。作家は、曲と同じようにその歌詞だって並々ならぬ力をいれてつくっている。言葉を一つ一つ、選びながら歌詞をつくっている。その情熱を味わう機会を、プレイヤーがつくる。こういう意思をもったデザインが、好きだ。このスピーカーは、ほんとに欲しいと思った。

 

lyric-speaker.com

 

先の森岡書店は、このテーマにもあてはまる。ネットショップを使えば外へ行かずとも自宅で注文できる。便利だし、そういう選択肢が増えたことで街の小さな本屋の価値が失われつつあると聞く。だけど、ネットショップにはできないことがある。それは実際に本屋に足を運ぶことで、思いがけず良書に出会ったり、人と人が出会ったりするチャンスを生むことだ。

 

 

人の生活がいままでよりちょっと楽しくなるような仕組みをつくることこそが、デザインなのだと分かった。