ほんとうの味方のつくりかた

今日は、壁面本棚をつくってくれた家具屋さんが出展している表参道のギャラリーに行ってきた。場所柄、繊細で芸術的な作品が集まっていて、きっと自分が手に取るようなものはほとんどないだろうと思ったけれど、見るだけでも自分のセンスを磨くきっかけになるのではないかと期待しながら、休日でにぎわう表参道を歩いた。展示されている作品が放つ敷居の高さを感じさせるにおいに気圧され、結局焼き菓子だけ買ってそそくさとギャラリーを出た自分は、いつまでたっても田舎者だ。

 

 

大手町駅で地下鉄を乗り換える途中、好きでよく行く文房具屋「ノイシュタットブルーダー」に立ち寄る。小さな書籍コーナーがあるのだけれど、ここの本のセレクトセンスが、とにかく良い。もしかして自分のためにセレクトしてくれているんじゃないか、と思うくらいだ。松浦弥太郎さんの本は、たいていここで買う。

 

ほんとうの味方のつくりかた (単行本)

ほんとうの味方のつくりかた (単行本)

 

 

自分ひとりでできることなんてたかがしれている。自分のことを助けてくれる味方をどうやってつくるべきかが、いつもの丁寧で優しい文章で示されている。家族や友人など「外側の味方」と、健康や時間、情報など自分の内面をつくる「内側の味方」。それぞれを味方につけるためにはどうやって行動したらよいか、あれでもないこれでもないと考えること、さらにもっといい答えがあるだろうと考え続けることが、必要なのだと分かった。

 

大手町で乗り換える機会には、必ずこの文房具屋に立ち寄る習慣が身についている。今日なんか、表参道駅までの複数のルートのなかからわざわざ大手町駅経由のルートを選んだくらいだ。しかしこれ、お気に入りのお店で文具を見たい、というより、松浦弥太郎さんの新しい言葉に会いたい、という気持ちだったと言ったほうがしっくりくる。「本を読むということは、情報収集を目的とするというよりは、その著者の話を聞く、という感覚」という言葉があって、まさにそのとおりだと思った。