原木中山とハンバーグ

歩いて行くには少し遠いんだけれど、電車に乗れば10分後にはたどり着く。そんな素敵な場所に、行きつけのダイニングがある。自分が住む街と、西船橋との間に位置する小さなその駅は、いまはそこでのご飯を食べるときぐらいしか降りない。なにか特別なものがあるわけではないのだけれど、なんだか居心地がよい場所だ。

 

駅を降りると、そのダイニングに入る前に本屋に立ち寄り、なにか面白いものはないかと見繕うのが、ここしばらくの習慣になっていた。小さな本屋にひしめく本を眺めながら、さてどれを読みながらご飯を食べようか・・・と妄想する。これがまたいい。

 

ナイスガイでシャイな感じのシェフがはにかみながら出迎えてくれるダイニング。木のあたたかさに彩られたインテリアと、ちょっと暗めだが落ち着きのある照明が好きで、けっこう長居してしまうことが多い。以前、何度か食べに行っていた自分のことを奥様が覚えてくれていたことがきっかけとなって、大ファンになった。真面目そうな奥様と、これまた真面目そうなシェフのコンビが、そのまま料理の美味しさに繋がっている。いまはハンバーグがお気に入り。ハンバーグなんて子供が好き好んで食べそうなものを・・・と思いがちだけれど、あなどれない。自分にとってハンバーグはご馳走だから、そんな毎日食べようなんて思わないけれど、それでも結構な頻度で食べたくなる。ここのハンバーグは特に美味しくて、出会えてよかったと本気で思う。

 

原木中山に着いたら、腹ごしらえをする前に、駅前の本屋へ。それが習慣になりつつあったある日、いつもの本屋が消えていた。なくなっちゃったのか?と落ち込みそうになったが、目の前の張り紙に移転場所の地図が。それは現在位置から歩いて20秒くらいのところ。ちょっと移動しただけじゃないか!

 

私は本屋には当たり外れがあると思っている。それは当たりが良い店で外れがダメな店という意味ではなくて、ピンとくるような本がある店と、なかなか面白い本に出会えない店というのがどうしてもある。この店はどちらかというと外れ。おっと思って実際に買ったことがあまりない。それでも、立ち寄る場所が消えずに残っているというのは、素直に嬉しい。

 

本を読みながらハンバーグを食べる街。それが自分にとっての原木中山だ。