ロックインジャパンフェス2016

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8月13日。土曜日。

 

大好きなバンドが出演する野外ロックフェスに、初めて行ってきた。屋外でのライブそのものが初めてで、それだけでもドキドキするのに、この天候と、何万人が集まるという環境に、しばらく怖気づいていた。それでも、行って初めて気づくこともあるだろうと思い、なにより、THE YELLOW MONKEYが出演する日のチケットだけが残っていたということを「行け」というサインのように感じ、勇気を出してチケット購入ボタンを押したのだった。

 

 

ひたちなか市常磐線特急のデッキに立ちながら1時間。勝田駅から会場の国営公園まではシャトルバスが用意されている。シャトルバスから会場の「ROCK」の像が見えた瞬間、いままでの不安は一瞬で消え去った。これは楽しめないわけがない、と。

 

終始会場の雰囲気にのまれ、興奮状態だった。最初のゴールデンボンバーから予想を上回る楽しさ。TVでは「女々しくて」ばかり取り上げられていて、正直のところ「一発屋」という空気を感じさせていたけれど、そうじゃないんだ、彼らが続けている理由はここにあるんだ、ということが分かった気がした。計算を重ねたパフォーマンス、カメラワークは、ほんとにすごい。

 

小さくてキュートで、しかしパワフルな声で会場を魅了した植田真梨恵ちゃんに癒されたあと、さてどうしようとフラフラしていたら、森に迷い込んだ。そこで出会ったlocofrankのパンクパワー、聴く人を虜にするコメントに、ロックフェスならではの高揚感を感じた。「自分は音楽が好きだ、本当は、まともに音楽でも聴いていないと生きていけないんだ」ということを、今日は高らかに表明していいんだ、と感じた。

 

気になっていたGOING UNDER GROUNDも見た。尖ってない、音に厚みのあるシンプルで聴き心地のよいロックがそこにあった。シシド・カフカも見た。長いストレートヘアーを振り乱し、汗で顔にへばりつくのも気にせずパワフルにドラムを叩く。ノースリーブから伸びた細く白い腕がこの音を出しているというギャップ。最高にセクシーだった。大学時代の友達や社会人になりたてのころの同期が大好きだったken yokoyamaも見た。当時、自分は心のどこかで「そんなにカッコいいかなぁ?」なんて思っていたけれど、どでかい深緑のグレッチを低く持って弾く彼は本当にパンクスターだった。言葉ひとつひとつがやけに刺激的で、挑発的で、聞く人によっては眉間にシワをよせるようなことも言った。客席からはペットボトルが飛ぶこともあり、「なんだかなぁ」と思うこともあった。後ろから思いっきり押されて驚いたのも束の間、目の前でドミノ倒しで人が倒れる瞬間を見た。ちょっと嫌な面もあったけれど、それは決して彼が助長しているのではない。観る側も考えるべきことがあるのだと思った。

 

気温も下がり、徐々に暗くなり始めてきた頃。最後にステージに立ったTHE YELLOW MONKEYは、それは神がかっていた。頑張って前列近くまで行けたので良かった。イエローモンキーの自分にとっての初ライブが、野外フェス。なかなかいいじゃないか。吉井さんがローリングストーンズを見てバンドは宝だと感じたと言っていたが、自分はこの日イエローモンキーを見て「バンドは宝だな」と思った。「バラ色の日々」と「JAM」の合唱では、不覚にも泣いてしまった。

 

 

終わったあと、身体中が痛いことに気づいた。日焼けした腕のヒリヒリと、首・腰の筋肉痛。いい痛みだ。いい夏だ。フェスなんて、わちゃわちゃしていてどうも楽しめなさそうだ、なんて言っている限り、味わえないであろう興奮を体験できた。