アルフォート

朝、家を出て仕事に向かう。その途中、2~3日前だったか、道端になぜかアルフォートが落ちていた。目の前がマンションの駐車場だから、小さな住人がおそらく落としたのだろう。箱ごと落ちていたから、その小さな落とし主はさぞ落胆したに違いない。

 

翌日、そんなことに気づきもしなかったが、また同じ場所で、アルフォートが目に入る。小さな落とし主はまだ落とした場所に気づいていないのか。あわてふためきながら探し回っている姿を想像して、切なくなる。

 

翌日、アルフォートのことなどすっかり忘れていたのに、またその目の前を通った時に視界に入り、「そうだよな、まだ落とし主は現れないよな」となる。やっとのことで落とし主がこの場所に気づいた時には、この暑さでアルフォートは溶けてしまって、もはや味わえないのではないか。そう思うと、さらに切なくなる。

 

いや、まてよ。こうして毎日、朝家を出て、駅に向かう途中の自分の気分が暗く沈み、無意識に下を向いて歩いているから、そのアルフォートが目につくんじゃないか?直前まで寝てて、ぼーっとしながら、今日は仕事で何と何をやらなきゃならなくて・・・なんて考えながら暗ーい気分で歩いているから、道に落ちているものが目に入るんじゃないか?もっと、前を向いて歩かねば。アルフォートの落とし主を想っている場合ではない。