失敗ノート

平日、いつもよりちょっと早めに仕事を終えて、いつもよりちょっと早めに帰れたので、ちょっと寄り道をと思い、駅前の本屋で本を探す。向かいの行きつけのパスタ屋で読むための本を。

 

一周ぐるっとまわって、ピンと来る本がなく、あぁどうしようかなぁ、これだから優柔不断は困るのだ、と思いながら二周目に入ろうとしたとき、結構目立つコーナーに、松浦弥太郎さんの本があるのが目に入り、迷わず手にとった。最近は、内容はどうであれ、読んでいない本は買う、というのが条件反射になりつつある。

 

さよならは小さい声で (PHP文庫)

さよならは小さい声で (PHP文庫)

 

 

さらりとした、優しいエッセイを読みながら、本当に「人」が好きな方なんだな、と思う。旅先で出会った人との思い出ひとつひとつが刺激的で、そんな人とのコミュニケーションを大事にしている彼が、すごくカッコいいのだ。

 

同じ店に毎日入るのは、そこで出会う人と会話ができるようになるから、という話がある。その点、自分も同じように思うところがある。私も、「この喫茶店、好きだな」「もう一度来よう」と思う店って、だいたいが、そこで出会う人が良かったから、ということが多い。もちろん、内装も大事だし、店内で流れている音楽も、雰囲気も、もちろんコーヒーの味も、大事。だけど、それ以上に人が、それはとなりのお客さんがティータイムを満喫している姿だったり、店員さんの屈託ない笑顔だったりいろいろなのだが、記憶に残る。そういう店には継続的に行って、人に自分のことを覚えてもらいたい、という気持ちがある。

 

今夜もこの本を、湯船につかりながらのんびりと読んでいる。出会う人から刺激を受けて自分の生活に取り入れる姿勢、見習いたい。

 

「失敗ノート」なるものをもっているという話も、興味深い。成功した経験ではなく、失敗した経験を、記録する。思い出すだけで恥ずかしいこと、悔しいことは、できれば思い出したくないし、ましてや記録になんか残したくはない。だけど、失敗した経験から学ばず、その原因をつきとめないままうやむやにすると、どうなるか。また同じ失敗をする危険性がある。また恥ずかしい思い、悔しい思いをする羽目になる。それを避けるための、失敗ノート。以前、一度似たようなことを「失敗学」から学んでやってみようとしたけれど、続かず、挫折した。それを今度こそ。