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狭小邸宅

7月26日。日曜日。

 

夕方、このまま無為に過ごすわけには行かないと思い、東京都心で今年初めて35度を超えたというヤフーニュースに驚きながらも、外へ出る。雑誌で見てちょっと興味があった小説が本屋で目にとまり、買ってみる。結果から言うと、パン屋からパスタ屋へとはしごして、一晩で一気に読み終えた。ストレスを与えないくらいサッサと話が進み、あっという間に読み終わった。 

 

狭小邸宅 (集英社文庫)

狭小邸宅 (集英社文庫)

 

 

自分の仕事と重ねあわせながら、自分のことを、考える。小説の中とはいえ、ブラックと言われそうな過酷な労働環境を目の当たりにし、それに比べて自分は、と思うと、かなり環境に甘えた、ノーテンキな仕事をしてきたように思う。そうか、とふと気づく。前職を辞めた時、「社内の空気が悪い部分があって、その空気に触れているのがしんどかった」といった外的要因のせいにしたり、「自分が社の売上に貢献できておらず、今後も売上に貢献できる気がしない」といった自分のふがいなさのせいにしたりしていた。でも、結局のところは、自分で決めて自分から辞めてやったというより、会社にいるべき社員になりえず、戦力外通告されたのと、変わりはないんだ。どんなに周囲が理不尽であっても、その中で実績を残せる人だけが、特に営業に関しては、居るべきなんだ、と思った。

 

ラスト、主人公は客に怒鳴られる。その理由が、客に突き放されてしまった理由を、読み終わった直後は、分からなかった。そして、冷静に考えて、初めて、主人公が客の視点を考えず、仕事に没頭していた結果だったのだと気づいた。客に怒鳴られた理由にすぐに気づかなかった自分は、きっと主人公と同じように売り手の視点だけで考えて、客の視点が見えていないのだと思う。仕事の仕方を考え直さないとな、と思った。

 

と同時に、「緊張と興奮を常態化」させて、それが「危うい均衡」だとしても、仕事にのめり込む主人公のようになってみたい、とも思った。いまそれができていない自分は、まだまだ甘っちょろいんだな、と思った。