マジメに考えると、喜ばしい状況ではない

夕方、ちょっと仕事があって事務所に行った。先客がいた。いまプロジェクトを一緒に進めている、先輩スタッフだ。休日なのに、大変だなぁ。休日に出て設計しなければ終わらないほど業務がたまってるのだとすると、マジメに考えると、喜ばしい状況ではないよなぁ・・・なんて思いながら、これ以上考えるのをやめた。自分もその一人だった。

 

 

昨日金曜日。計画にあたり、予期せぬことにでくわし、変更を余儀なくされた。正直、焦った。でも、見たところ彼は焦っていない。隣の席でコツコツとパソコンの画面とにらめっこをしていた彼がふと、私に言った。

 

「挽回するの、早いでしょ、俺」 

「俺、天才だから」

 

彼は、自信に満ち溢れていた。自然だった。ニコニコしていた。だから私も、自然とこう応えることができた。それを聞いて、彼は爆笑してくれた。

 

「すみません、実は知ってました」

 

何ができるか、どれくらいキレるか、その「内容」以上に、それができるということを他者に伝えられる、そのことが大事なんだと思った。

 

終電まで、ではなかったけれど、23時くらいまで二人であーだこーだ議論し、そろそろ帰ろうぜ、ということになった。パソコンの電源を落とし、事務所を出ようとしたときに、ふと彼が言った言葉が、いつまでも心に残っている。

 

「いやぁ~、楽しいなぁ(^ω^)」

 

いやいや。楽しんでる場合じゃないっす。事業協力者へ説明しなければならないし。どちらかというと、悪い方へ転がってるんじゃないか?でも、彼のこの言葉を聞いた瞬間に、何の問題もないんだな、と思った。

 

 

「すんません、先帰ります」今日もそう言って、事務所を出た。彼は、「うん、お疲れ」とだけ言って、図面から目を離さない。自信に溢れ、何より状況を楽しみながら仕事をしている彼が、休日に一人、夜まで仕事をしている。マジメに考えると、喜ばしい状況ではないけれど、あ、プロジェクトは成功するな、と思った。