ゼロ

 

 

よく「お前にはコスト意識がない」と言われる。言われるたび、一会社員であることに安住してしまっているのかもしれない、と思う。と同時に、会社員であることを放棄したくなることがある。経営者から見たらダメダメ会社員だ。

 

「お金を「もらう」だけの仕事を、お金を「稼ぐ」仕事に変えていこう」(p122)。頑張ろうがサボろうが1ヶ月に一度ほぼ定額の給料をもらえて、それで安心して、というのではダメだと、言葉では分かってはいるものの、実際に自分の力で得ているという実感を持てているかというと、疑問が残る。自分から能動的に動かないと。で、経営者に「コイツには給料をやらなきゃダメだ」と思わせないと。それが、「やりがい」へと進んでいく。

 

「やりがいは「見つける」ものではなく、自分の手で「つくる」ものだ」(p123)。世界のどこかに自分にとってやりがいのある仕事があって、それを探す、というのは、どれくらい時間がかかるかわからない。見つからないかもしれない。そもそもないかもしれない。それよりも、これが自分にとってのやりがいだ、と思うことを、自分で、いまの場所で、つくってしまう。それの方がいいに決まってる。

 

探すんじゃなくてつくるのだ、という考えは、話は飛躍するけれど、家は、出来合いのマンションを買うんじゃなくて、自分の好きなように建てるのだ、という自分の昔からの価値観へと繋がる。分譲マンションを買って住むということは、自分の住み方を間取りに合わせる、ということにほかならない。賃貸ならまだしも、資産としてもってまでそんなことはしたくない。その価値観は昔から変わらない(分譲マンションの供給自体を否定するつもりはありません)。

 

ゼロである自分に、小さなイチを足していく。掛け算で最短距離を進もうとするのではなく、足し算で確実に前に歩を進める。自分がゼロだったら、100を掛けても1000を掛けてもゼロだけど、イチを足すことを続けたら、確実に100にも1000にもなる。そんな仕事の仕方に憧れる。