負けることで勝つ

今日、部屋のカーテンを新しくした。真っ黒に。いつか、部屋の家具、什器をすべて黒にしてやろう、と目論んでいる。白い壁天井に黒い家具。フローリングがアクセントカラー。なるべく少ない色でまとめるインテリアに清潔感を抱き、徐々に不要な色を削除していく。カーテンが黒だと圧迫感があるかな、と少し不安もあった。実際につけて分かる、なかなかの存在感。前にせり出してきそうな勢い。でも不思議と威圧感はない。むしろ落ち着く。心が闇を欲しがっているのか?根が暗い証拠なのか?それでもやはり、私は黒が好きだ。

 

毎朝の電車内が混雑しているので、少しでも荷物を減らそうと、最近バッグを事務所に置きっぱなしにしている。手には手帳とiPad mini。これに本が加わると重くなるから、読み心地は決して良くはないけれど、電子書籍を少しづつ読んでいる。

 

 

人の生き方に興味がある、他力本願の私。建築家はどう仕事に向き合っているのか。真似できる考え方があれば、それを意識して真似することで、少しでもプロフェッショナルに近づけるのではないか。そんな浅はかな想いを抱きながら読み、時間調整で頻繁に止まる地下鉄への怒りを消す。

 

真似したい考え方。すべては「負ける建築」という言葉に集約されている。敷地には制約がある。人間は白い紙にバーっと絵を描くことはいくらでもできるけれど、建築はそうではない。日あたりを遮る隣家もあるし、建築に反対する近隣住民もいる。前面道路が国道だったら、車が静寂を許さない。どんなにいいアイデアでも、建て主の予算を超えれば、できない。そういった制約を直視して、その制約に負ける、つまり弱さをつくることで、結果として強さをもったプロジェクトができる。負けることで勝つ、そんな強さをもったプロジェクトを立ち上げたい、と思う。

 

彼、ほとんど休まないのだそう。たぶん仕事が身に染み付いて、人生の一部、というより人生そのものになっているのだろう。そういう仕事のしかた、いつも憧れる。仕事は仕事、休みは休み。そうやってメリハリをつけて生きるのも良い。そうすることで休日を最大限満喫でき、平日の仕事に励む糧になる、という人はいると思う。私も、休日を満喫することが、平日仕事を頑張るモチベーションになると思っていた。このブログのコンセプトもそうだし。だけど、そうじゃなくて、毎日が仕事。毎日建築のことばかり、クライアントのことばかり考えている。土日も事務所に行って調べ物して、クライアントに返事する。遊びに行くことを「楽しみなイベント」として予定しておかない。その代わり、毎日緊張の糸を張ってるんじゃなくて、毎日適度に息を抜く。毎日サボる。最近、こっちの方が、実は自分のやる気を引き出せるんじゃないか、と思うようになった。

 

結論はまだわからない。やっぱり、1週間に2日は仕事を離れる日が必要なのかもしれない。もしそうだとしても、試してみる価値はある。合言葉は「つべこべ言わず、とりあえずやってみろって」。とりあえずやってみることで、心の闇が晴れるかもしれないよ。