快適

先週買った回転チェアの座り心地が良くて、腰を上げることができない。10年保証という「信用」を買ったのをいいことに、決して軽くない自重を背もたれにあずけてのんびり過ごす。この椅子が私に安心感を与えてくれるのと同じように、私は仕事を通して顧客に「快適に住む」サービスを与えているだろうか、とぼんやり考えながら・・・

 

昼間、少し仕事だった。竣工済みコーポラの定期点検と、理事長と打合せ。自分が関わる以前に竣工した吉祥寺のコーポラは、地主様の想いが発端となって企てられたプロジェクト。敷地内の路地を歩くごとに景色が変わる、そんな歩いてて楽しい空間が魅力的。「快適な住環境をつくるお手伝いを」入居者のこれからの生活を支えるパートナーでありたい。

 

中古物件を買って、リノベーションする。そういった住み方がこのところ活発になってきているように思う。もちろん新築の方が良い。だけど新築は手が届かない。中古であってもいい物件はたくさんある。でも古びてるのは嫌だ。だから思い切ってリフォームする前提で買おう。で、自分にあった間取りにしよう。既存ストックの活用が今まで以上に望まれている今、そういう流れになるのは必然だと思う。

 

そういった需要があると分かったとき、企画者はどう関わるか。いままでと同じように、用地を探して、既存建物を解体して更地にして、新しい建築を設計して・・・というだけでは視野が狭いというのは分かっているけれど、具体的な手法はまだ模索中。コーポラのメリット、コーポラの良さは、新築でなければ得られないわけではないと気づいてから、既存ストックの活用にも目が行くようになった。

 

既存ストックの活用という視点自体は、大学の学科フレンドが注目して卒論のテーマにしていたくらいだったから、別に新しいものでもない。でも、その視点を自分はおろそかにしていたと思う。新しい建築を供給すること自体が自分にとってのビジネスだとずっと思っていた。ただ、それだけじゃなくて、もっと今あるものを見直そうよ、そうじゃなきゃ、かつてそれを建築した人も浮かばれないでしょう、と、ようやく思えるようになってきた。既存ストックにも目を向けて、「快適な住まい」を供給するためのネタを増やしたい。