ありがとう絆と先々の長い願い

花柄の気分もまた一日のうちたった6秒
 (THE YELLOW MONKEY 「プライマル。」)


今週のお題「卒業」


3月。刺激的で憂鬱な寒さもだんだん和らいできた。この間は、雪が降り積もる中、渋谷で凍えながら仕事をしていた。路面でツルツル滑って何度も転びそうになり、それだけでもテンションが下がるのに、革靴を透過して足に染みわたる雪が、極限までぼくをゲンナリさせる。そんな季節ともそろそろおさらばだ、と思えば、少しは気が晴れてくる。


「卒業」という言葉を聞いて、まず思い出すのが、イエローモンキーの「プライマル。」。イエローモンキーのメンバーそれぞれがバンドを「卒業」したのが2001年。もう10年以上前の話なのかぁ、ずいぶん時間が過ぎたなぁ、と改めて実感する。あの頃はこの曲に「卒業」という言葉をあまりあてはめていなかったけれど、今になって、「この曲がイエローモンキーにとっての卒業の歌だったのか」と思うと、こんなに攻撃的な曲で卒業していく彼らのバイタリティーに敬服する。これを全然「卒業の歌」と思わずに聴き、次の新曲の発表を今か今かと心待ちにしていたぼくは、完全に彼らにしてやられていたようだ。この曲を聴いて彼らのバイタリティーに気付くたび、また、吉井和哉のソロライブでイエローモンキー時代の曲を演奏している旨を知るたび、「だったらイエローモンキー復活させろや」と一ファンとして文句を言いたくなってしまう。


http://www.myspace.com/video/tetsuyan-with-konstantine/primal/4496619


「卒業」という言葉を聞いて、次に思い出すのが、小学校の卒業式。一番最後、卒業生が卒業の歌を歌うクライマックス。その曲の間奏部分で、「語り」を入れるという重要な任務を遂行する勇者が、卒業生約40人から一人だけ選ばれる。その選抜で、6年間目立ったいいことがなかった当時のぼくは渾身の勇気を振り絞って立候補し、なんと当選。周囲の羨望のまなざしを受け止めきれずにぺしゃんこになりそうになりながらも、40人に一人の勇者に相応しい漢(おとこ)になるべく、一心不乱に台詞を覚えた。卒業して16年経つ今でもその台詞をだいたい覚えていることからも、当時のぼくが全身の血を沸騰させて本番に臨んだことを感じさせる。本番のことは実はほとんど覚えておらず、練習の時に担任の鬼教師から「声が小せぇ!!」と罵倒されたことしか記憶にないのが残念だが。


卒業の季節。出会いがあれば別れもある。出会いと別れを繰り返しながらぼくらはきっと成長していくのだろう。そんなクサい言葉も、最近はあまり恥ずかしいと思わずに言えるようになってきた。それはいままでの経験則から身に染みて実感するものがあるからなのだろうか。そうこう考えているたったいま、大学のサークルフレンドから恒例の花見のお誘いが来た!過去の出会いが花柄の気分をもたらす。それがたとえ6秒でも、この絆は絶やすまいと誓う。