三本の矢

サンフレッチェ広島がJ1初優勝」というニュースをみて、突然脳内は小学生時代にタイムスリップした。20年近く前の話だ。

 

(サッカーがヘタな)サッカー少年だった当時、昼休みはよくグランドでゲームしていた。その時の憧れの対象がJリーグ。どこか特定のチームを好きになってとことん応援しよう、と考えた幼き私が選んだのがなぜかサンフレッチェ広島。広島県とはなんの縁もゆかりもなし。しかも地元埼玉の浦和レッズを差し置いて。理由はよく覚えていないが、たぶん紫をかっこよく感じたことと、熊のマスコットをかっこよく感じたこと、そんな安易な理由だろう。ファンでもなんでもない。ただ10チームから1チーム、任意に選んだだけだ。

 

あれから20年経つのか。その間に私はJリーグから離れ、サッカーから離れ、いまやスポーツから離れてしまっている。この長い間にも、ファンのために一生懸命プレーを続け、こうして初優勝を飾るまで運営し続けてきているのだから、チームの力はすさまじい。詳しくない私が言ったら怒られそうだが、絶対的エースがひとりで引っ張るようなチームではなかったと思うから、やはり毛利元就の「一本の矢を折ることはできても、三本の矢の束を折るのは難しい。このように一人ひとりが力をあわせなければならない」を体現した結果でしょう。

 

サッカーしかり、ロックしかり。昔を思い出させてくれるほんのささいな出来事に、時間の経過を感じる。時間の経過に気づくたび、その時間に本来蓄えられる知識・知恵・経験を十分に蓄えてきただろうかと不安になる。まぁ不安になることもないか。いま蓄えが少ないのは今更嘆いてもどうしようもない。これから蓄えていけばいい。自分ひとりで得られないときは、人に力を借してもらえばいい。一本の矢が非力でも、三本束になった時に威力を発揮する。それが単なる逸話ではないということは、サンフレッチェ広島が証明してくれました。