新宿

 9月2日。日曜日。

 

午後、新宿へ。

 

一度行って快適だった面影屋珈琲店にたどり着いた。若干敷居が高い感じがするので、日曜日とはいえ、満席ってことはないだろうと思い入ったら、あと1席だった。新宿、恐るべし。

 

厳かな空気にはちょっと似つかわしくない、メイド服に近い恰好のウェイトレスに萌えそうになる。間違えてアキバに来ちゃったか?とアセるも、大人っぽく、落ち着いた雰囲気の声になんとか正気を取り戻せた。気温がまだまだ下がらない中、あえて逆張り作戦でいこうとホットコーヒーを注文したら、「ブレンドでよろしいんですか?」と聞き返された。どうぞどうぞ、いっそ熱々の沸騰したコーヒーでもなんでも持ってきてみろ、となぜかその時だけ強気になった。

 

少し両脇の席にはカップル。挟まれたぼくは一人黙々とシフォンケーキにかぶりつく。傍から見たらさぞ貧相に見えたことだろう。えぇ、ぼくも若干心細かったですよ。でもいい。「喫茶店というのは哲学書を読んだり、昼寝したりするところだろう」。お茶大の教授で哲学者の土屋賢二氏のエッセイ「紅茶を注文する方法」に登場する、ぼくの大好きな話「合成の誤謬(注1)」を思い出してニヤッとした。まるで土屋氏の魂(死んでないけど)が乗り移って、土屋氏になったかのような気分だった。

 

穏やかな時間を過ごした後、最近もはや中毒気味のリフレクソロジーで足の裏を刺激する。ここでの時間もまたのんびりと流れ、BGMのヒーリングミュージックが眠気を誘う。「ストレスたまっているようですね」と前回と同じことを言われ、ストレスを抱えているということを確信する。でも自覚症状はまったくない。もうちょっと気楽に行こうか。

 

今夜はそのストレスとやらを解消するために、「いい意味での」無駄遣いをしよう。妙典にひっそりとたたずむケーキ屋さん。行ったら3周年記念キャンペーン中だった。

 

こんなん見たら、誰だって心臓とろけちゃうでしょ。ストレスもこれで消え去ったはずだ。うし、あしたからまた1週間、頑張ろう。

 

 

(注1)

紅茶を注文する方法

紅茶を注文する方法

合成の誤謬」:喫茶店で静かに仕事をしていた土屋教授に突然「複数の中年女の客」が襲いかかる。そのときの土屋教授の言い分がめちゃめちゃ面白く、しかも的を射ている。「中年女の騒がしさは、人数の三乗に比例する」これは科学の公式なのではないかとさえ思う。この本はずいぶん前に買った。いま売ってるかどうか分からないけど、エッセイの魅力に取りつかれるきっかけとなった愛読書。