ラッシュライフ

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ラッシュライフ 伊坂幸太郎 新潮文庫

最近読んでます、伊坂幸太郎作品。

夏休み、実家に戻ってきて、あっという間に読了。

スリリングな展開がすごい。



構成は、複数の人物のそれぞれ別々の物語が同時並行で進んでいって、それがだんだん収束していく、というもの。


1.画商を営む大金持ち「戸田」。彼は「金で買えないものはない」という信念を抱いている。彼に見込まれた画家の「志奈子」に対し、「仙台駅で降りて最初に会った人の『一番大切なもの』を、それが何であれ買ってみせよう」という。

2.泥棒を稼業とする「黒澤」。彼は泥棒に入ったところで、昔の同級生に偶然再会する。

3.父親に自殺され、意気消沈する少年「河原崎」。ある日、川に飛び込んで猫を助けた勇敢な男「高橋」に憧れ、彼の熱狂的な信者になる。そして、同じく信者の「塚本」から、「これから『神』を解体する」と持ちかけられる。

4.カウンセラーの「京子」。不倫相手の「青山」とともに、お互いの配偶者を殺すという交換殺人を計画するが、夫の方から突然離婚を切り出される。青山の妻を殺そうとするが、その途中、青山が運転する車が男を轢いてしまう。

5.職を失い、意気消沈する男「豊田」。途方にくれていると、頭の狂った女性に殺されそうになっている老犬を見つけ、助ける。老犬を連れて歩き回るが、その途中に少年にからまれる。


それぞれ全く別のストーリーだけど、それぞれが途中で干渉しあったり、ひょんなところで関係があったりと、結末に向かって徐々に繋がっていく。



一本筋の通った物語があるのではなく、複数の物語がだんだんシンクロしていく、という点で、前に紹介した「1Q84」や「グラスホッパー」などと共通しています。

とにかく読んでて興奮しました。


なにがすごいって、「こんなところで繋がってるんだ!」、「えっあの時のあの人、誰々だったんだ!」という驚きの連続。


個人的には、京子と豊田との繋がりにはびっくりしました。


それぞれのストーリーの中でそれぞれ印象にのこる台詞とかもあるけど、小説全体の「騙し絵」的な構成がとにかく印象にのこる。

それぞれのストーリーを、時系列を追って実際に紙に書いてみると、たぶんまたすごい事が分かるんだろうな。


それぞれのストーリーの中ででてくる様々な伏線が、最後にはすっきりと繋がるところ、これは伊坂幸太郎作品特有の快感です。