Season6−10 寝台特急カシオペア殺人事件

現在放送中のシーズン8が好調です、相棒。
こないだの元日スペシャルはものすごい濃い話でした。
あまりにも濃すぎて、内容がぼくにとっては難しすぎて、咀嚼するのに時間を要するため、
このストーリーについては後ほど紹介します。


さて、ここ最近、毎年恒例となっている相棒元日スペシャル。
毎年、1月1日に初興奮を届けてくれるこの元日スペルも、シーズン4から数えて今年で5作目。
そのどれもが元日のテレビ欄を占拠するにふさわしい、非常に完成度の高い作品でございます。

その中から、今回はシーズン6の元日スペシャル「カシオペア殺人事件」を紹介します。

ちなみに正確なサブタイトルは、
寝台特急カシオペア殺人事件!上野〜札幌1200kmを走る豪華密室!犯人はこの中にいる!!」
です。こんなにながいサブタイトルは相棒史上初めてでしょう。
ぼくは「カシオペア殺人事件」でいいと思いますが・・・




北海道のとある事件の重要証人・根元を護送することになった右京と薫。根元とともに寝台特急カシオペア号に乗り、北海道へと向かう途中、車内で殺人事件が起こる。函館まで走り続ける「動く密室」の中に隠れる殺人犯を突き止める・・・


簡単に言うとこんなあらすじか。
しかし、話はそんな単純ではありません。
待っていたのは、前作「バベルの塔」以降の視聴者の期待を上回る二転三転のストーリー展開でした。



まずストーリーの根幹をなす、おおもとの事件。
①指名手配中の男・新井田が爆弾の取引をしているところを目撃するトリオザ捜一。その取引の失敗が原因で爆弾マニアの塚原と口論となり、新井田は塚原の持つ爆弾で爆死してしまう。その事件に偶然居合わせた根元。その根元を北海道警察へ引き渡すべく、右京と薫が護送を命じられる。


そして今回のストーリーの主部へ。

カシオペア号にて護送中、乗客の一人が刺殺される。被害者は覚せい剤の売人であり、顧客の名前が書かれた手帳が犯人によって持ち去られていた。電車内は動く密室。犯人とその証拠はまだ車内にある。


予告を見るとこの殺人事件がメインで、それで終わりのように思えますが、実はまだ続きがあります。

③根元が実は「証言するな。逃げろ」と何者かに脅されていた。根元はホテルでのアルバイト中、ある取引現場を目撃しており、その件で重要証人となっていた。その根元に証言をさせないようにたくらむ者が、実はカシオペア号の乗客の中に潜んでいた・・・



そしてさらにさらに・・・

④新井田が爆死した現場検証から、大量の札束が燃えたことが分かる。新井田との取引は失敗しており、塚原は現金を受け取っていないはずであることから、新井田との取引の前に別の取引をしていたことが分かる。その取引の相手(つまり爆弾を塚原から購入した者)が、実はまたカシオペア号の乗客の中に潜んでいた。その者は爆弾を手に、かつて恋人を殺した者へ復讐に向かう・・・


②のメイン殺人事件の解決から、根元を取り巻く環境を描く③へ急展開。
捕まった根元を助ける右京と薫。薫の体当たりによって助かるシーンはハラハラドキドキします。
そして一件落着、とおもいきや、一気に④へなだれ込む。
とにかく怒涛の展開。
カシオペア号の乗客全員に何らかの役割があり、全員が何らかの形で事件に関わっている。
その全員の関わり方が非常に複雑に絡み合っていて、言葉では言い表せないストーリーの緻密さを感じさせます。
ラスト、爆弾を片手に真犯人が右京と対峙するシーンは、迫力こそ違えど、前作「バベルの塔」のラストシーンを彷彿とさせます。


娘の為に夫を射殺するという一つの事件に焦点を絞った「バベルの塔」から、
おおもとの事件を発端として3つの事件が同時進行する「カシオペア殺人事件」へ。
ほんとにいろんな見せ方をしてくれるもんだと、つくづく感心させられます。

最後に、ストーリー全体を象徴する「カシオペア」。
寝台特急カシオペア号。
真犯人の恋人の趣味である天体観測、そして星のプレゼント。
一貫した象徴的なテーマが存在する点も、「相棒」のクオリティの高さを物語る上で欠かすことはできません。


間違いなく最高傑作と言える作品だと思います。
「テレビ朝日開局50周年記念」という枕詞にふさわしい、非常に完成度の高い作品だと思います!!


すごいシビれるので、ぜひ観て欲しいです!!