ケータイに奇抜さを、といったらちょっと語弊があるけれど、どこか人と違うものが良いと昔から思っていた。白とか黒とか、そういうポピュラーな色の、シンプルなケータイに魅力をあまり感じなかった。だから、オレンジ色の、かなり厚みのある、流線型のケータイ(以下、DRAPE君)を手にしていた時は、おれは他人とは一味違いますよ、という優越感に近い感情を持っていた。いまとなっては、過去の恥ずかしい感情の一つにすぎないけれど。
真ん中のオレンジのやつ
当時、私は車をもっていて、それもまた、いま思い出すと天邪鬼の自分の性格を表しているのだけれど、オレンジ色のbBに乗っていた。どんだけオレンジが好きなんだって感じだ。でも、実際、好きな色なのだ。いまもそうだ。
これ。いまみると、ほんとチャラい・・・
で当時、愛車の運転席に乗ると同時にDRAPE君をダッシュボード上に置いていた。運転しながら、ごついオレンジ色のDRAPE君が視界に映る。そして正面には、同じくオレンジ色の車体のボンネット。この色の見事な一致が、満足感をもたらせてくれた。今思い出すとまったくもって、意味不明だ。ダッシュボードは黒なんだから。
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今日、仕事で久しぶりに車に乗り(車に乗せてもらい)、高速道路をびゅんびゅん走った。首都高を走ったのなんて何年ぶりだろう。ふと、数年前を思い出す。あの頃は車で移動することも多く、高速道路の経路がなかなか覚えられずに苦労した。上司を乗せて、道を間違えたらどうしようとドキドキしながら、また沈黙にどうやって耐えようかとハラハラしながら、運転したことも何度あっただろう。いま思うと、車の運転という一定の緊張を伴う行動を少しでも楽にしてくれる大事な役割を、DRAPE君は担ってくれていたのかもしれない。
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